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特別寄稿                                 

平和フェスタ実行委員会への介入を明透けに語る高橋市長

市政は市長の私物ではない!

[市議会の答弁]

狛江市は、10年間、市民団体と共催で続いてきた「こまえ平和フェスタ」を、昨年のフェスタ実施前に「2015年は共催しない」と平和フェスタ実行委員会に通告しました。3月議会で鈴木悦夫議員(共産党)が「市が共催しないとする理由はすでに実行委員会との間で解決している」と指摘したところ、企画財政部長は(拒否したのは)「(実行委員会の)体質だ」と答えました。また、高橋市長は、2014年1月の青年会議所の賀詞交歓会で「平和フェスタは偏っている。青年会議所の皆さん、積極的に実行委員に入ってください」とあいさつしたことを問われて、「はっきりと覚えている」と答弁しました。この市長の答弁は何を意味しているのでしょうか。

[事実経過]

事実関係を追ってみましょう。実行委員に確認したところ、青年会議所での市長あいさつなど(*1)もあり、4月初めに10名の実行委員応募者がいると市から実行委員会に連絡がありました。実行委員が応募者の連絡先を聞いたところ、当初は教えられないと拒みましたが、抗議する中で、市は応募者本人に了解を得たうえで、ようやく実行委員会に知らせるという不可解な対応でした。  

実行委員会は応募者が平和フェスタに一度も来場したことがないために、平和フェスタは狛江市平和都市宣言を基礎としていること、実行委員会は自主的な公益市民団体であること、既に2014年の企画が決まっていることなどの事前説明を実施して、応じた8名全員を実行委員として受け入れました。しかし、うち一人は最初から入らず、一人は平和フェスタ直前に辞めています。そして、この二人が辞めたことを市は共催拒否の口実に使いました。

また、これまでは実行委員会には事務局として市の担当者が出席していたのですが、昨年4月の実行委員会から担当室長が出席するようになり、また唐突に市議会議員が傍聴に訪れ、「(実行委員会を)監視にきた」と述べたりしています。

一方、市は4月中旬に、行政提案型市民協働事業として「終戦70周年平和祈念事業」の募集をしました。これまで市民提案で共催している平和フェスタが10年間も継続しているのに…です。

[事実経過は何を示しているのか

高橋市政は、「こまえ平和フェスタ」を一方的に「偏っている」とレッテルを貼り、一公益活動団体である実行委員会に実行委員を意図的に送り込み、その介入がうまくいかないと見るや、応募者を利用して共催拒否の口実に使い、行政提案型の「70周年平和祈念事業」に乗り換えたことを示しています。議会の答弁は、この事実経過を公然と認めたことにほかなりません。

[こまえ平和フェスタとは]

 こまえ平和フェスタは2005年に「狛江市平和都市宣言」(*2)に賛同する市民が市に呼びかけ、それに市も応えて始まったものです。年1回エコルマホールで開催され、時々のテーマに沿った講演者と、舞台でも展示でも市民公募があり、手作り感あふれる事業で、市民に宣言の普及と平和を考える機会を提供してきました。市民の協賛金により運営され、実行委員以外にも50名ほどのスタッフが参加し、毎年600名から900名の来場者があり、いまでは市民の中に定着した狛江市の誇るべき平和イベントです。市長は「偏っている」とする理由を一度として説明しないまま一方的に共催を拒否したのです。それは事実を通して話合えば共催を拒否する理由は成り立たなくなるからでしょう。

[なぜ市は共催をしたくないのか

 平和フェスタ実行委員会が高橋市長の意に沿う団体ではなかったということです。実行委員会は自由で活発な議論がされていて、一人ひとりの意見が尊重されていると聞いています。高橋市長と意見が異なったのは2年半前の国旗掲揚問題です。市長から「平和フェスタ」で国旗・市旗を掲揚して欲しいとの申入れがあり、実行委員会で議論の末、第一に平和フェスタは「狛江市平和都市宣言」の実践が目的であり、国の平和事業でもないためにその必要が無いこと、さらに日の丸に対する想いや考え方は先の大戦を考慮すれば様々だとして、掲揚すれば「平和フェスタ」に色を付け、市民を分断することになるとの文章をまとめ、市長と話合いを持ち、国旗は掲げないが市旗を掲げることになりました。このような自主的・自立的な団体を嫌ったとしか考えられない行為です。

 さらにいえば、背景には高橋市長が理由なく「空白の16年」と叫んでいたように、市政から矢野カラーを消そうとしていました。矢野市政の時に生まれ、発展し、平和施策として大きな影響力を市民に与えていた「平和フェスタ」を取り除こうとしたのではないでしょうか。

いずれにしても、市民協働事業をはじめ市政は市長の思いのままにできるものではありません。「市民参加と市民協働の基本条例」(*3)をないがしろにすることは許されません。

私たちは、市民に定着している「こまえ平和フェスタ」を今年も市が共催するよう求めます。

1 他にも、例えば政策室長は2014219日第4回狛江市男女共同参画推進委員会で「お願いがある。平和事業については現在平和フェスタを実行委員会主導で実施しているところであるが、市も積極的に関わりもっと組織を強化していくために、実行委員会に皆さんも参加してほしい。市長も皆さんに協力をお願いしている」(会議録より)と呼びかけている。

2 狛江市平和都市宣言(1982621日 狛江市議会)

われわれ狛江市民は、「日本国憲法」の前文と世界の恒久平和を達成するという精神および第九条に記された「戦争の放棄、交戦権の否認」を、狛江市および狛江市民の行動原理として高く掲げたい、と思う。

(中略)

狛江市および狛江市民は、各平和宣言都市と手を結び、核兵器完全禁止・軍縮、全世界の非核武装化にむけて努力することを宣言する。

 

3 参加と協働の基本条例(2013331日)前文より

狛江のまちに「新しい風」を! そのような思いをこめて、私たちはこの条例を定めます。「新しい風」は、市民と自治体の信頼に基づくパートナーシップから生まれます。そのためには、…、市民公益活動を自主的に行なう様々な団体と行政組織が対等な立場でまちの発展のために取り組むことが求められます。そしてそのことは、行政のありかたそのものを、より市民に開かれたものに変えていくことでしょう。