市民連合「ちょこみな@東京22区」

第6回トークライブ

〜〜市民と野党の共闘 進化を求めて〜〜

 調布・狛江・三鷹・稲城の4市の市民運動でつくる「市民連合・ちょこみな@東京22区」は2月14日(金)、調布駅前の「グリーン小ホール」で、第6回「トークライブ」を開催。山口二郎法政大教授(市民連合)、大河原まさ子衆院議員(立憲民主党)、山添拓参院議員(日本共産党)、横山昌三政策担当常幹(社民党)という4人のゲストを含めて140人(狛江からは22人)のご参加をいただき熱い討論を交わしました。
以下に概要を報告します。

<山口二郎さんが問題提起>

 市民連合から初めての参加となった山口二郎法政大教授が「2020年の政治課題・・・・市民と野党はいかに安倍政治を終わらせるか」と題して講演。

 〜〜行き先は違っても共通政策で大阪までは行こう!〜〜

2019年の参院選は自民党の単独過半数割れと改憲勢力の3分の2割れを実現したが、投票率が5割を割りこみ、立憲民主党の実質的敗北(2017年結党時の勢いがなかった)、左右のポピュリスト勢力の台頭という結果だった。ここから教訓を引き出して問題提起したい。

先の参院選では、市民連合が提起した「13項目の共通政策」も生かされて色んな人が改憲勢力の3分の2打破に力を合わせ、「13項目」は次の土台としても意味を持っているし、共産党を含む野党共闘の構図ができた。これは重要だ。

 安倍政治では、考えられないことが次々に起こっている。桜を見る会疑惑、カジノ汚職、公選法違反などが露呈している最中に検察人事に手をつっこむなど許されることではない。質疑もめちゃめちゃだ。それでも支持率が落ちないのは「他に代わりがない」からに過ぎない。自民は20年前から公明と組んできたが、いま野党がようやく1本化に眼を向けている。立憲・国民の一本化がダメになったが、これは大きな敵を見失っているからではないのか。みんなで協力する気持ちは一致しているのに残念。

 現状では「方向性の一致」で政権を取りに行くことだ。新幹線でたとえ行く先は違ったとしても、暮らし、原発など共通す政策で、下り電車に乗って、まずは大阪までは行こう。

 夫婦別姓、アイデンティティ、人間の自由、個人の尊厳を打ち出して行くことも大切だ。今年の政局は、オリンピック、アメリカ大統領選などは野党にとってあまり良いものではないが、野党は、候補者一本化、疑惑追及とオルタナティブ提案の両面作戦で、自公を過半数割れにし、信頼感の持てる政権態勢づくりを追求しよう。

 

<山口さんがシンポジウムをコーディネート>(以下敬称略)

まず各パネラーから今の状況について所信を・・・・

 

 大河原 立憲で東京21区の総支部長を務めている。立憲ができて2年になるが、衆院で120人、参院で61人の「立国社(立憲・国民・社保)」を形成している。さらに共産を含めて「カジノ」「桜」などで、力を合わせている。私は24日に選択的夫婦別姓問題で質疑をしたが、安倍首相は掘っても掘ってもウソをつく。各党で分担して、田村智子さん・山添さんなども含めて闘っている。

 

山添 東京からの参院議員、調布市民だ。いま国会では、@新型ウイルス問題の対策が急がれる、A3つの柱(桜、カジノ、中東派兵)が重要で、野党が阿吽の呼吸で追及している。総理が答弁すればするほど意味が分からなくなる。迷答弁を続出させながら、「野党は細かいことをいつまでやるのか」と攻撃しているが、大きな問題をこの政権にやらせていいのかという大問題なのでやめるわけには行かない。法律の解釈を勝手に変えて検事の定年を延長する。維新の質問に答えて安倍首相は「共産党は暴力革命の党」と、公安調査庁が67年かかって証明できないデマを言ったが、謝罪と撤回を求めている。

 横田 先の選挙で2%の要件を満たし、代表質問の機会ももらい、でたらめ・忖度・模造・捏造・安倍晋三を追及している。「桜」問題はもともと予算問題で共産の田村さんなどと野党合同で取り組んでいる。与党は「コロナ対策のために緊急事態法が必要」などとの動きを見せるが許さない。

 

◎テーマ@ どういう形の野党をつくるか 「合流」か「共闘」か?

 

大河原 みなさんは「合流」という言葉を使うが、立憲は使わない。エネルギーシフト、ジェンダー、多様性などの問題で一致が難しいものは、ムリに一緒にすることはできない。「合流」に行きつかなくとも仕方がない。自民と同じ党をつくっても仕方がない。それよりも一緒にやれる人たちとやるというのが大事だ。

 

山口 では、次の選挙は連立政権で行くのか?

 

大河原 反自民では一致してるので、それで行けると思う。

 

山口 社民はどうか?

 

横田 11月に枝野さんから呼びかけがあった。彼は「数合わせにはくみしない」と言っている。参院選で負け、れいわが伸び、国民民主はより厳しいという状況のもとで、岡田・野田さんが「接着剤になろう」、中村喜四郎さんも「協力しよう」などの動きもある。社民としては共同会派を信用して「2月大会」で方向性を出したかったが、「社会新報」の扱いなど不安や疑問もあり先送りしている。

 

山口 いまは「共闘」がいいと思う。先日私は共産党の党大会に出たが共産党は橋渡しの役割を果たしていると思う。山添さんはどう思うか?

 山添 党大会には野党関係で6人が来賓で来られた。安住さんは3年前の大会時には「一定の協力」と言っておられたが、今年は「距離が縮まった、共同を重ねれば政権が見えてくる」と語られた。ここまできたが、「政権を取る」ところまで合意できるか、そこに踏み込むべき時に来ている。

 

◎テーマA 「消費税廃止」をどう考えるか?

 

山口 不安な要素として新選組・山本太郎氏は野党共闘の一翼になるかという問題がある。市民連合としても話し合ってきたが、「消費税廃止」のリトマス試験紙が大きい。

 

大河原 消費税について立憲は8%で凍結。加えてこれまで下げ過ぎた法人税を引き上げること、何よりも給料をあげることなどもしっかりやる必要があると考えている。れいわからは、消費税以外のことはまだ聞いていない。

 山添 消費税は廃止、当面5%に下げるべきだ。これを、大金持ち優遇その他、財源を生む政策が必要だ。だが、5%や廃止を共闘の条件に出来るかどうかは検討が必要。旧民主党は増税を決めた立場だが、いまは大きな決断もされている。いま本当に10%で良いのか、コロナの影響など経済悪化のもとでどうなのか。コロナが去年起こっていたら10%は不可能だったろう。「10%は誤りだ」という判断が必要で、その点れいわと一致できる。

 

横田 れいわの5%というのは難しいが、立憲も国民も、安倍政権の軽減税率反対、10%は反対と言っている。これらを含んで共通政策をどうつくるかという問題だろう。税と社会保障の一体改革をやり直そう、先に税率ではなく山口さんの言う安倍政権に代わるビジョンに関わる検討が必要だ。マイナンバーのポイントはおかしい、カジノはいらないなど、衆院選にむけた共通政策をつくる中で考えて行きたい。

 

◎テーマB 「13項目の共通政策」バージョンアップのために

 

山口 「13項目」を書くとき、増税反対でまとめてよかった。8%に戻すのは簡単だ。5%にする残り3%は7兆円ででき、法人税増税、内部留保切崩しなどが考えられるが、山本さんの国債をどんどん出せばよいというMMT理論(現代貨幣理論=Modern Monetary Theory)が共通政策になるかは疑問だ。5%をほったらかさず、こちらの議論の中で検討する必要がある。「共通政策」で、どういう給付をするか、子ども手当の復活、保育士の待遇改善などを示すことも必要だ。

 

大河原 「13項目」の中でも11項目。ここでいま一番やらねばならないのは格差問題だ。結婚しない選択も。いつか誰でも1人になる。AIにできない仕事もある。安倍さんは1企業の中での同一労働同一賃金と言って同一価値労働を切り捨てている。安倍さんにもれいわにもジェンダーがでてこない。共産党はこれをバッチリ書いた。私はジェンダー責任者として頑張りたいが、給料を増やして平等にしていくことが大切と考えている。

 

山添 共産党はジェンダー問題で綱領を改定した。日本のジェンダーギャップは世界で121位、特に政治の分野が遅れている。女性には家庭とパート、男性には24時間労働を押しつけてきた社会に、8時間働けば暮らせるルール、全国一律最低賃金1500円などを実現していかねばならない。これらをやれば消費税を下げることもできる。もうひとつ安倍政権がやらないことに気候変動への対応がある。小泉進二郎大臣の地元である横須賀では火力発電をつくろうとしている。大企業優遇から脱却できるかが重要になっている。

 

山口 閣僚がSDGs(持続可能)のバッチをつけて、やってるふりをしているが、石炭・火力などもっての外という時代が来る。自民のイメージはガラパゴス、安倍のイメージは親父主導で、もう通用しない。

  大河原 安倍首相は、世帯をしきたりで縛る、古い強制的夫婦同姓を引きづっている。選択的夫婦別姓について、「選択的」を言わずにダメだと決めつける。

 

横田 ダボス会議で「資本主義の再定義」ということが話題になった。格差・貧困にぶつかり資本主義は行き詰っており、人間社会の持続可能が問われている。その時に安倍政権は「世界で企業が一番活動しやすい国」等と言う。彼もまたSDGsのバッチをつけている。「誰一人取り残さない」、これが安倍政治への対抗軸だ。

 

◎テーマC 選挙で野党はうまく一本化できるか?

 

横田 中村喜四郎さんから各党幹事長に訴えがあった。高知で一本化した経験もできた。各党選対の意見交換も始まっている。都知事選をどうするかが重大で、立憲も国民も共産もそれぞれ動き始めていている。参院選と違って289の小選挙区だから地域地域でやらねば。

 

山添 具体的には発表段階にはないが検討中。政権をともにするということでの一致が必要。前には希望の党の分断の中で、自発的にこちらが候補を降ろしたが、政権合意をキチンと行なう必要がある。4月26日の静岡4区の補選をはじめ選挙戦が始まっている。

 

大河原 社民党、共産党など、キャリアの長い党が共闘を言うのは心強い。私は当事者で言いにくいが、一本化に期待している。

 

山口 政権交代する決意が大切。来月19日に意見交換会を予定している。都知事選も何とかして挑戦したい。選挙区レベル、政党だけでなく、市民も関わって行く流れがいくつかの選挙区でできると良い。こういう討論を何度も重ねてきた22区の「ちょこみな」に敬意を表したい。

 

<フロアとの質疑応答>

 

M市議  政権のめちゃめちゃを野党共闘でどれだけ本気で変えるか。共産党が今までより変わってきた。政権をとったらこれをやると明らかにすることが大事。統一候補にグループ名をつけてウルトラCを! 共産も政権のなかではここまでをやると表明しているが、大事なことだ。

 

Kさん  山口さんに聞きたい。山本太郎は困ったものという意味は? インフレ率2%になるまで国債を出すというのは、どこがおかしいのか?

 

大河原 運動を若者とともに進めることには立憲も工夫している。立憲フェス、ミートアップ、フラワーデモなどをもっと考えたい。

 山添 憲法審査会はただ議論する場ではなく、改憲案の発議をする会議。宮本市議の言われた選挙でグループ名をつけるというのはありうると思う。自民党政治への対抗軸は平和というのもその通りで、「13項目」を踏まえて3つの方向があると思う。@憲法にもちづく(立憲主義)、A格差をただす、B多様性の尊重。大枠で一致することが大事で、大枠で一致すれば後から付け加えて行ける。

 

横田 社民党は護憲の党だから憲法は守る。とくに、戦争しない平和、環境・災害など、命の問題は譲れない。若い人と一緒に変えるため、色んな分野でがんばりたい。

 

山口 若い人に期待している。しかし、頭から選挙に関われといっても簡単ではない。まず60歳が奮起して世の中を変えよう、そうすれば若い人はついてくる。一本化したグループに名称やシンボルを考えることや、比例で統一名簿を追求することなど、力をつくそう。国債での埋め合わせ(MMT)については、やはり野放図にやるのは危機を招くと私は考える。

 

<閉会あいさつ>(ちょこみな 鈴木彰)

 

201610月に4市の市民運動が触れ合いを開始してから3年半が過ぎるが、この間に私たちは2回の集会、今日を含めて6回のトークライブを開催。今回、市民連合と立憲野党のシンポジウムという画期的な取り組みが出来たことに深い感動を覚えている。

 私たちは10年前の2009年に1度安倍内閣を打倒している。しかし、あの時は「市民と野党の共闘」はなかったので、事実上、民主党が裸でオオカミの群れに立ち向かうものとなったわけで、沖縄問題、原発事故、消費税問題などをめぐって米日の権力から総攻撃をあびて、3年でつぶれざるを得なかった。

 そして7年前に生まれた第2次安倍政権は、原発再稼働・辺野古埋立て・2回の消費税増税と戦争法を始め悪法を次々に強行して、社会の歴史的荒廃と大不況など、憲法を踏みにじる最悪最長の暴走政治を重ねてきた。しかし数を頼んだ暴走政治は、モリカケ疑惑、カジノ汚職、「桜」疑惑など、数知れない腐敗・堕落・モラル崩壊を生み、いまや安倍政権は、憲法改悪ですべての民主主義をチャラにしなければ生き延びられないところに追い込まれている。

 これ以上の暴走を封ずるために市民と野党は、10年前の「政権交代」が3年でつぶれた経験を越えて強い団結を育てている。

 今日は、7月の「都知事選挙・都議補選」、今年中に、遅くとも来年9月までには行なわれる総選挙で市民と野党がかならず勝利する確信に1歩近づいたと思う。がんばろう。