市民不本意の新年度予算案が可決

市民福祉と市民協働が後退―高橋市長提案の予算

共産党議員団提案の組み替え動議を否決

  敬老金の引き下げ⇒100歳以上は2万円がゼロに
  入浴権の交付に所得制限⇒10人がもらえなくなる
  介護保険料16.7%値上げ⇒平均年9000円値上げ
  多子世帯の保育料軽減廃止⇒最大16万7千円値上げ

以下、《豊かな会》と連携関係にある日本共産党狛江市議団からいただいた情報をもとに、本紙読者である当会会員とご支援くださっている皆さんに報告します。

3月26日に行われた第1回定例市議会の最終日本会議で、高橋市長提案の新年度一般会計予算案は、自民・公明・民主・生活ネなどの賛成多数で可決されました。日本共産党からは予算組み替え動議が提出されましたが、共産党・市原議員・正木議員が賛成し、自民・公明・民主・生活ネと山田議員が反対(辻村議員は欠席)し、否決されました。

高橋市長提案の予算案の検証

まず、昨年4月からの消費税8%増税と物価高、賃金の低迷、年金切り下げなど、市民生活は一段と厳しさを増しており、市民生活への支援と市民福祉の充実は急務となっています。

ところが、高橋市長提案の予算案では、第一に福祉の施策が大きく後退するものとなっています。高齢者のご長寿をお祝いする敬老金が、77歳は7千円が5千円に、88歳は1万円が8千円に、99歳は2万円が1万円相当の記念品に、100歳以上は2万円がゼロになってしまいます。高齢者の皆さんは、戦争の体験や戦後の復旧に苦労された方々です。年金暮らしで生活が大変な方も多くいらっしゃいます。敬老金をこれまでどおり支給するために必要な予算は263万円です。

また、自宅にお風呂がない65歳以上の方や、満12歳以上の障がい者に月4枚支給されていた入浴券交付事業に所得制限が導入され、現在支給されている88人のうち10人の方がもらえなくなってしまいます。現在、入浴券の交付等を実施している多摩17市の中で、所得制限をもうけているのはわずか2市であり、所得制限導入による予算削減はわずか25万円です。身体機能が低下している高齢者等が、入浴によって新陳代謝を図り、健康を維持することができ、清潔を保つことができます。同時に、公衆浴場はふれあいの場にもなり、引きこもりを防止することにもつながります。

敬老金や入浴券交付事業は、市の財政力からして十分これまでどおり実施できるものです。それをあえて削減するということは、市民にとってあまりに冷たい高橋市政ではないでしょうか。

 

高橋市長提案の予算案の第二の問題点、消費税増税で苦しくなっている市民生活にさらに大きな負担を課すものとなっています。介護保険料は平均で4500円から5250円と、16.7%もの大幅な値上げとなり、平均で年9千円の値上げとなります。また、保育園の多子世帯への保育料軽減措置が廃止されたため、最大で16万7千円もの大幅値上げとなります。

また、3月23日から市役所の駐車場が有料化されました。市役所や市民センターの駐車場は、その利用者のために設置されたものであり、そもそも、市役所利用者の駐車に費用徴収することには疑問があります。1時間は無料としていますが、窓口の混雑や事務処理の遅れなどで1時間を超える場合も稀ではなく、公民館は3時間以上の単位で利用するのが普通です。雨の日や障がい者の方、各種講座で荷物の搬送など、駐車場を不可欠とするケースが多くあります。これらの利用者を優先し、無料にすべきです。

 

第三の問題は、市民参加や市民協働がさらに後退するものとなっていることです。高橋市長は就任直後から、市の基本計画や公共施設再編方針を庁内検討だけで全面改訂するなど、市民参加を軽視する姿勢でしたが、この予算では、「狛江市平和都市宣言」に基づいて市民協働で実施されてきた平和フェスタの共催を止め、また設立当初からボランティア市民団体が運営・管理してきたむいから民家園を市直営にするなど、長い間の市民との協働を壊し、トップダウンでの市民不在の市政市民運営がいよいよ明らかとなっています。

 

また第四に、「選択と集中」「財政の建て直し」を行うとして、公立保育園の民営化や小学校給食調理の民営化も進めるものとなっています。今後、子ども子育て新制度のもと、営利企業の参入も予想される中で、公立保育園の役割はますます重要になると考えます。民間保育園と連携して、狛江市の保育水準の向上に取り組める体制を確立することが大切です。しかし、公立保育園2園が民営化されれば、認可保育園13園中、公立は4園だけとなってしまい、全認可保育園の基準となるべき公立保育園の基幹的役割が後退してしまいます。和泉保育園の民営化は凍結すべきです。

 

予算案の中には、認知症グループホーム施設整備への補助や、就学援助のこれまでどおりの水準の維持、中学校給食センターの再開など、市民要望実現の取り組みもありますが、上記のように、市民福祉の後退やさらなる市民への負担増を求め、また、市民参加や協働を大きく後退させる中身です。

予算は成立しましたが、市民に冷たい高橋市政を、市民の立場で切り替え、市民本位の市政を復活させる市民運動の前進が問われていると思います。