資料/6・7月の「庁議の概要」から

狛江市のホームページに「庁議の概要」というページがあります。原則、毎週火曜日の午前に開かれる庁議の様子を垣間見ることができます。一昨年8月からは、庁議で配布された資料の一部もそのまま掲載されるようになり、“開かれた市政”度はさらに高まったと言えます。とは言え、なかなかホームページを覗く時間もないという方が多いと思います。最新の「庁議の概要」から役立ちそうな資料を掲載します。


■給食の放射線検査実施を決定(10月4日)

10月4日の庁議には企画財政部から、小中学校及び保育園の給食食材の放射性物質検査の実施が提案され、了承されています。これは9月市議会で、市民が提出した陳情が採択された結果を受けての対応です。

〔企画財政部からの提案〕
 9月27日の第3回定例会にて陳情が採択されたことを受け、9月30日に関係部署による調整会議を開催しました。
 各市の小中学校及び保育園における放射線検査等の実施状況についてですが、近隣市である武蔵野市、三鷹市、府中市、調布市、小金井市、国立市及び稲城市では対応を行っています。近隣市の状況を鑑み、狛江市でも放射線検査等を実施する予定です。
 陳情にある給食食材の選択については、現在産地を把握し、公表しているため、新たな対応を行わない予定です。給食食材の放射性物質検査体制の確立及び公表については、小中学校及び保育園の給食食材の放射性物質検査を行う予定です。検査方法としては委託を考えており、1施設ごとに数検体となる予定です。

〔主な質疑・意見等−回答〕
・従来、給食食材の検査については実効性の問題から市として行わないという判断でした。陳情が採択されたことに伴い、議会の意思を尊重し、検査を行うことになりました。東京都消費者行政活性化交付金の一部を用いて小中学校及び保育園の検査を行います。
・本日の新聞報道によると、区部では加工食品及び牛肉について検査を行うとのことです。検体を決定する際にこのことも考慮してください。
・放射性物質が含まれていないことが確認されたものについては、検査を行う必要がありません。検査が行われていない食材を対象にしてください。
・検査日程はどうなりますか。
−関係部署との調整、議会説明及び東京都消費者行政活性化交付金の交付決定以降に行います。
・交付金の交付決定はいつになりますか。
−10月5日の申請と同時に決定していただけるようにお願いする予定です。
・企画財政部にて取りまとめてください。実施内容を決定した後に、議会へ説明してください。

【審議結果】−了承


■一小内防災井戸からヒ素等検出の報告(10月4日)

同じく10月4日の庁議に、東京都による地下水調査分析結果、狛江第一小学校内防災井戸から環境基準値を超えるヒ素・ダイオキシン類が検出された報告されています。その部分を掲載します。

〔各部からの提案〕
 狛江第一小学校内防災井戸において、東京都による地下水調査分析結果で、環境基準を超えた項目があったことを報告します。
 この調査は、6月6日付で東京都多摩環境事務所より平成23年度の地下水概況調査地点及び地下水と土壌に係るダイオキシン類調査地点の選定について依頼がありました。これは、毎年多摩地区28市町村で調査されるものです。
 東京都の調査目的は、1.地域の全体的な地下水の状況を把握すること。2.未把握の地下水汚染を発見すること。根拠法は、水質汚濁防止法及びダイオキシン類対策特別措置法に基づくものです。調査は、9月15日午前10時30分に実施しました。調査項目である18項目中、次の2項目について、環境基準超過が見られました。1.ヒ素の環境基準0.01mg/lに対して0.024mg/l。2.1、2−ジクロロエチレンの環境基準0.04mg/lに対して0.079mg/l、以上2点について速報での情報提供がありました。
 情報提供の流れですが、9月30日午後2時頃、環境整備係に東京都多摩環境事務所の担当より速報として連絡がありました。午後3時頃、東京都の担当課長より環境管理課長へ同様の情報提供及び検査数値結果の提供がありました。この時点の東京都としてのアドバイスとしては、井戸ポンプが可動できる状況であれば、直ぐに非可動の処置をした方が良い。そして速報後速やかに関係者に情報提供した方が良いのではないか、というものでした。午後5時20分に建設環境部長へ環境管理課長より報告があり、午後5時40分に教育部長へ報告し、井戸ポンプの作動を止める様に要請し、同時刻帯に安心安全課長に情報提供しました。午後5時50分に市長へ報告し、午後7時15分に副市長へ報告しました。10月3日に副市長、教育長、総務部長、安心安全課長、危機管理担当主幹、建設環境部長、環境管理課長及び教育部長による打合わせをし、情報の共有をしました。また、10月4日午後2時に東京都多摩環境事務所を訪問し、今回の調査結果についての詳細及び今後の対応策等について情報収集します。
 教育部での対応ですが、学校へ連絡し、ビニールで密閉しました。
 使用状況を確認したところ、現在は使用しておらず、元々飲料用としては不適でしたので子どもたちには使用しないよう、指示されていました。
 井戸水に関してですが、毎年、水道法に基づき10項目、色度、濁度及び大腸菌の有無等の検査を行っています。その検査により、飲料用としては不適となりましたが、災害時の生活用水として使えるようにしていました。井戸水の調査は、1度にすべての検査を行うのではなく、毎年市内半分の井戸水について調査しています。狛江第一小学校の井戸水については、平成21年に検査を行っていました。

〔主な質疑・意見等−回答〕
・数値が超えたのは狛江市だけですか。
−狛江市の情報しか入っていないため、把握できていません。
・平成21年のときは検出されなかったのですか。
−今回は、水道法による検査とは別の検査で発覚しました。
・今回のような検査は初めてだったのですか。
−狛江第一小学校の検査は、初めてです。市内の公共施設を順に検査しています。
・関係部署間の情報共有等をお願いします。


■民家園の指定管理者再指定を決定(10月11日)

10月11日の庁議には教育部から、むいから民家園の指定管理者を引続き運営市民協議会とすることが提案され、了承されました。

〔教育部からの提案〕
 現在、狛江市立古民家園は指定管理者制度が導入されており、平成18年度からの3年間、さらに平成21年度からの3年間については、狛江市立古民家園運営市民協議会が指定管理者として管理・運営にあたっています。
 平成24年度以降の指定管理については、狛江市公の施設に係る指定管理者の指定手続等に関する条例第5条第1項に定められた、公募によらず現行の指定管理者を再指定する手続を定めるために、狛江市教育委員会が所管する公の施設に係る公募によらない指定管理者再指定に関する指針を策定しました。これに基づき、狛江市教育委員会が所管する公の施設に係る指定管理者検証委員会を設置し、手続を進めてきました。
 6月27日に狛江市立古民家園運営市民協議会から指定申請書が提出されたことを受け、8月29日には狛江市立古民家園の指定管理者検証委員会を開催し、現行の指定管理者に関する評価を行いました。全般的に狛江市立古民家園の指定管理業務は能率的かつ安全に履行されており、狛江市立古民家園設置条例に規定された施設設置の目的は十分果たされています。古民家園としての機能を十分発揮させているものと判断され、総合評価はAとなりました。
 また、管理対象物件が市の指定文化財であることから、検証委員会とは別に文化財専門委員の会議の意見もあります。7月8日に開催された文化財専門委員の会議において検討がなされた結果、市指定文化財の保護・管理・活用といった観点からみて、引き続き、狛江市立古民家園運営市民協議会が古民家園の管理・運営を行うことが妥当である、という意見でした。この結果について教育委員会へ報告しています。
 以上の結果を受けて10月6日の教育委員会において審議した結果、狛江市立古民家園運営市民協議会を引続き、指定管理者の候補として再指定することが決定されました。今後は、教育委員会の決定を受け、第4回定例会へ議案として提出します。

〔主な質疑・意見等−回答〕
・評価4及び5については、目標値以上であることが必要であり、その目標値とは何か整理する必要があります。
・総合評価の基準はどのように定められていますか。要綱で定められていますか。
−評価の基準と総合評価については、市の条例によるものです。
・評価の基準は、5段階だったと思います。総合評価のA、B、C、D、Eの評価は要綱で定められていますか。
−そのように理解しています。
・検証委員会が独自に定めたものではないですか。
−独自に定めたものではなく、評価区分、評価基準及び総合評価の基準によって評価しています。
・指定の期間はどうなっていますか。
−平成24年度から3年間を予定しています。
・法人格を有してはいませんが、安定的に運営できていますので指定期間を3年間以上にすることを他の自治体の状況を踏まえつつ、検討してください。
・指定管理の期間は通常5年間としています。古民家園の場合、市民団体だったため3年間として様子を見てきましたが、安定した運営を行い、評判も良いので議案としてまとめる前に検討をお願いします。

【審議結果】−了承

狛江市議会が議決・提出した意見書

 12月定例市議会で議決され、政府等に提出された意見書を掲載します。ただし、Bは否決されたものです。「なにこれ!?」と言うのもあります。検証ください。

@サイバー攻撃・情報保全対策に関する意見書

衆議院や参議院,政府機関をねらったサイバー攻撃が明らかになり,サイバー攻撃に対する国民の不安はこれまでになく高まっている。
我が国の重要な情報がサイバー攻撃で海外に流出することは国益に大きな影響があり,政府が一体となってサイバー攻撃・情報保全対策を構築することが求められている。
特に現在不定期開催となっている情報セキュリティ政策会議を定期開催することや,保全に関する状況分析,内外情勢分析,諸外国の政策動向等を定期的に国会に報告することで,我が国の情報保全対策に対する決意を内外に示すこととなる。
よって狛江市議会は政府等に対し,下記事項について積極的に実現を図り,サイバー攻撃に対する国民の安心・安全を守るよう強く求めるものである。

                       記

1 国家としての安全保障の観点から,情報保全の基本戦略を早急に構築すること。
2 防衛省は我が国の防衛調達に関する情報管理,保秘体制を強化すること。
3 政府は重要な社会基盤に対するサイバー攻撃の可能性を評価・検証し,地方自治体に対するサイバー攻撃対策についても早急に戦略を構築すること。
4 民間のすぐれた人材の技術を活用し,官民一体となった情報保全対策を構築すること。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成23年12月22日
東京都狛江市議会
平成23年12月22日原案可決
提出先
内閣総理大臣 総務大臣 経済産業大臣
防衛大臣 内閣官房長官 国家公安委員長
衆議院議長 参議院議長


A「子ども・子育て新システム」の撤回を求める意見書

政府は,7月29日の少子化社会対策会議において「子ども・子育て新システム」に関する中間とりまとめ」を決定し,「平成23年度中に必要な法制上の措置を講じることとされている税制抜本改革とともに,早急に所要の法制案を国会に提出する」との方針を示した。
新システムの導入は,長い歴史の中で培われてきた福祉としての保育制度の根幹が崩壊し,安定した生活基盤の確保が担保されなくなるおそれがあり,憲法で保障されている最低限の文化的な生活を営む権利が脅かされることになる。また,保育料が応能負担から応益負担への変更で保護者の負担増になり,子育て環境を悪化させる危険がある。
さらに新システム導入に必要な財源は明確になっておらず,現状では極めて不透明な情勢であり,保育現場の混乱を招くだけでなく,事業実施主体である自治体の財政力などによる格差をもたらすことになる。 よって狛江市議会は政府等に対し,下記の項目について早急に実現を図り,だれもが安心して利用できる保育制度を維持・拡充することを強く求めるものである。


                       記


1 子ども・子育て新システムについて,「今年度中の法案提出」との方針を撤回すること。
2 保育制度のあり方については保護者,保育現場等の意見を十分尊重し,慎重に検討すること。
3 「安心子ども基金」の拡充等,保育の充実に向けた地方の創意工夫が生かされる来年度予算編成を行うこと。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
2011年12月22日
東京都狛江市議会
平成23年12月22日原案可決
提出先
内閣総理大臣 厚生労働大臣 衆議院議長 参議院議長

B政府が決めたTPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加に関する意見書

野田内閣総理大臣は11月11日,「TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る」ことを表明し,同時に「世界に誇る日本の医療制度,日本の伝統文化,美しい農村は断固として守り抜き,分厚い中間層によって支えられる安定した社会の再構築を実現する決意である」とした。
TPPは,物品貿易は原則関税撤廃とし,サービスなど非関税障壁についても高い水準の自由化を目指す包括的な経済連携協定とされている。さきのTPP交渉参加国首脳会合では,野心的で21世紀型のTPPの「大まかな輪郭」が発表され,グローバルな貿易の新しい基準を設立し,来年中に協定を完成させようとしている。
TPP交渉への参加には加盟国の同意が前提とされ,12月以降高い自由化を要求し,多国籍企業をバックとした米国との事前協議が開始されようとしている。
TPPは,農林漁業や農山漁村への打撃,食料自給率の低下だけではなく,20以上の交渉分野についても,外国企業による医療・薬価制度や政府調達・公共事業への参入,食の安全基準の緩和,知的財産権,投資の自由化,郵政や共済の同等性などが含まれ,安い物品の流入増加によるデフレの加速化など国民生活や地域経済を破壊する危険性を持っている。韓国でも不平等な米韓FTAに対し大きな反対運動が起き,TPP参加国でも労働条件や雇用の悪化に懸念を持っている。
この間国は,TPP交渉に関する内容や参加国の要求や合意点,日本にどのようなメリット・デメリットがあるのかなどについて十分な情報提供が行われず,各種世論調査では中身がわからないという答えが最も多くなっている。また,多くの自治体が懸念を表明し,農業や医療,消費者団体など各層から強い反発が巻き起こっている。
現在TPP交渉は,参加を前提としてしまっている。よって狛江市議会は政府等に対し,これからでも国内への影響を深く検討し,国民に情報を公開するとともに,日本の食料と地域の農業・農村,医療や雇用,資源,土地など国民の財産を守り抜き,下記事項が実現できない場合は直ちに交渉から撤退することを求めるものである。
                       記
1 交渉参加を決めた際,各国との協議に当たり,政府の方針・体制が明らかでなかったことは大変遺憾である。今からでも明らかにすること。
2 各国との協議により収集した情報は,国会で速やかに報告し,国民への十分な情報提供及び幅広い国民的な議論を行うこと。
3 関係国との協議に向けては国益を明確にし,国益を損なう協定は結ばないことを約束し,国民生活に重大な影響を与える場合は参加を見送ること。
4 国は,TPPによる影響試算について各省ごとのものではなく,関税撤廃や市場開放による影響等について統一性のある試算を作成・公表すること。
5 「世界に誇る日本の医療制度,日本の伝統文化,美しい農村をどう守り抜き,分厚い中間層によって支えられる安定した社会の再構築」をどうやって実現するのか明らかにされていない。早期に明らかにすること。
6交渉では,食料自給率の向上や食料の安定供給を実現する観点から,「多様な農業の共存という基本目標,農業の多面的機能への配慮,輸出国と輸入国の不均衡の是正,開発途上国への配慮,消費者・市民社会の関心への配慮」を維持するとともに,農林水産業分野の関税削減,国境措置の縮小は行わないこと。
7 米国主導の巨大なTPPに追従してアジアの成長を取り込むのではなく,アジア諸国との互恵的かつ柔軟な経済連携を追求するとともに,食料・環境・エネルギー分野での連携を強めること。
8 外交において,WTO交渉や既存のFTA・EPAとの整合性をどうとるのか明らかにし,TPPを先行させないこと。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成23年(2011年)12月22日
東京都狛江市議会
平成23年12月22日原案否決