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政策づくり連続勉強会の第1回目のテーマは、「戦争法廃止に向け、自治体として、そして首長としてとりくむべき役割」でした。 2月10日(水)午後7時から「みんなの広場」で、提起者に元国立市長・上原公子さんをお招きして勉強しました。以下、上原さんが用意してくれたレジュメを全文掲載します。 当日は、このレジュメでは触れられていない、2期8年間の国立市長としての上原さんの奮闘や、市民とともに歩んできた道程、あるいは上原さんに対する「損害賠償請求裁判」の東京高裁不当判決などにも話題が及び、“市民本位の市政”を希求するわたし達に多くの教示と激励を与えてくれる、意義ある勉強会となりました。 しかし、まだ報告文が未完です(どなたか書いてくれませんか!)ので、今号では上原さんのレジュメのみ掲載します。なお、文中の(※ゴシック文字)部分は、本紙編集者が加えた注釈です。 2016.2.10 |
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戦争法廃止に向け、首長としての取り組みとしてできること 上原 公子 |
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(1)若者が目覚めた SEALDs(※シールズ/Students Emergency Action for Liberal Democracys ? 私たちは、戦後70年でつくりあげられてきた、この国の自由と民主主義の伝統を尊重します。そして、その基盤である日本国憲法のもつ価値を守りたいと考えています。この国の平和憲法の理念は、いまだ達成されていない未完のプロジェクトです。現在、危機に瀕している日本国憲法を守るために、私たちは立憲主義・生活保障・安全保障の3分野で、明確なヴィジョンを表明します。 いまこそ、若い世代こそが政治の問題を真剣に考え、現実的なヴィジョンを打ち出さなければなりません。私たちは、日本の自由民主主義の伝統を守るために、従来の政治的枠組みを越えたリベラル勢力の結集を求めます。そして何より、この社会に生きるすべての人が、この問題提起を真剣に受け止め、思考し、行動することを願います。私たち一人ひとりの行動こそが、日本の自由と民主主義を守る盾となるはずです。 ※ 市長選は、市民自らの民主主義社会実現の実践場、「民主主義はこれだ!」 (2)市長の仕事…基本的人権を保障すること 2006年 施政方針 (※上原国立市長によるもの) 2006年は、憲法制定からちょうど60年の節目に当たります。ここ数年、憲法改正の議論が高まり、改正手続きの国民投票法をめぐる論争も憲法調査会で始まっています。しかし、憲法改正は国会で決定されるのではなく、憲法第96条で、国民による国民投票によると規定されています。国民一人ひとりが主権者、決定権者として改めて憲法の意義を深く考え、責任を持って判断をしなければなりません。しかし、憲法は主権者である国民が国家権力に対する義務を課すものであるという大前提と、戦争への深い反省の中で創られた日本国憲法が貫くものは、平和的生存権であり、「前文」に掲げた「民主主義」、「平和主義」、「主権在民主義」の3原則はゆるがせにできないものです。 改めて憲法を読み解きますと、憲法第10章最高法規の章の第97条は、極めて意義深いものです。いわく「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、犯すことのできない永久の権利として信託されたものである」。この基本的人権は、憲法の条文の中で繰り返し出てくるものです。この「基本的人権は自由獲得の成果である」と「犯すことのできない永久の権利」の意味することは何なのでしょうか。 憲法の義務を課す対象者が公権力ですから、自由を犯してはいけない対象は、公権力ということになります。国立市の公民館講座でたびたび講演された哲学者久野収氏は、講演のなかで、公と自由について述べられています。「公に対しては私が対立するが、民主主義では私というものはできるだけ自由にしておこうと考える。戦時中の翼賛会とか国民精神総動員とかの原理を振り返ってみるとわかるように、当時は盛んに公の原理が私生活の中に入ってきた。パーマをかけようがかけまいが、それは全く個人の自由なのに、パーマをかけるのはけしからんという。つまり、公の方から私の方へ越境するわけだ。理想とか創造性とかは私のほうから出てくる。公が私をつぶしてしまえば、人はオリジナリティを失い、ただ官僚の指導するまま墓場を目指して行くほかなくなってしまう。従って、民主主義では、私の領域はできるだけ広くしておかなければならない。」 また、国立国会図書館の目録ホールには、「真理がわれらを自由にする。」と刻まれており、「ユネスコ学習権宣言」は、「学習権は、人間の生存にとって不可欠な手段である。」と断言しています。自立した市民が自己決定するために、学習が不可欠であり、より高い理想を見出しながら生きるためにも、多くの学びが必要なためです。 つまり、憲法弟97条の意味することは、人がその人らしく生きる自由を公権力は拘束することなく、また人がよりその人らしく生きるために、学びを保障しなければならないということになります。 戦争法は有事関連法から始まった 2002年
有事3法案が提示される 2003年
3法の制定 2004年
有事関連法等10議案可決(国民保護法等7法、条約3案) 「有事法制3法案に関する意見書」(2002年12月2日)(※上原国立市長によるもの) @ 軍事的公共の名のもとの基本的人権の侵害 A国民の協力と指定公共機関の協力の責務は、国民統制につながる B地方自治の侵害 (憲法擁護の義務) 第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。 「地方公務員法」 第31条 職員は、条例の定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない。 ○職員の服務の宣誓に関する条例(狛江市) (目的) (職員の服務の宣誓) 宣誓書 (※狛江市のHPには載っていなく、他市の一般的例、とのことです。) 私は、ここに、主権が国民に存することを認める日本国憲法を尊重し、かつ擁護することを固く誓います。 私は地方自治の本旨を体するとともに、公務を民主的かつ能率的に運営すべき責務を深く自覚し、全体の奉仕者として、誠実かつ公正に職務を執行することを固く誓います。 平成 年 月 日 氏名 印 (3)憲法3原則・・・平和は前提 1.基本的人権 2.国民主権 3・平和的生存権 (憲法前文) 政府の行爲によつて再び戰爭の慘?が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主權が國民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも國政は、國民の嚴肅な信託によるものであつて、その權威は國民に由來し、その權力は國民の代表?がこれを行使し、そのwは國民がこれを享受する。これは人?普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。 (4)政治がめざす「国民の福利」とは自分らしく生きるため 第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。 第13条 すべて國民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸rヌ求に對する國民の權利については、公共の?に反しない限り、立法その他の國政の上で、最大の尊重を必要とする。 (5)権利は生きる中で、暮らしの中で自ら生み出すも 第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。 (1)教科書「民主主義」から憲法の意味を考える 1948年(S.23)〜1953年(S.28)まで文部省が教科書として使用) 『民主主義は、本で読んでわかっただけでは役に立たない。言い換えると、人間の生活の中に実現された民主主義のみが、本当の民主主義なのだからである。』 『民主政治は、国民の福利を保証することを眼目とするものではあるが、しかし、国民の幸福や利益は、労せずして国民に与えられるべきものではなく、国民自らの努力によって築き上げられてゆくものでなければならない。「天は自ら助くるものを助く」という。民主主義の重んずるのは、自立の精神であり、自助の態度である。すべての国民は、自らの力によって立ち、自らの手で幸福を追及する権利を有する。民主主義の保障するものは、このような権利であり、このような自由である。ゆえに、民主主義が「国民の福利のための政治」を行うことは、かくのごとき意味での国民の基本的権利を平等に保護し、他人の自由を侵さない限度において各人の人間としての自由を確立するということにほかならない。』(1948年〜1953年まで中高生の教科書であった「民主主義」より) ○『同性カップル条例』制定 渋谷区 2015.3.31 ○「情報公開条例」 国よりも地方公共団体が先んじた。国の情報公開法に先立つこと10余年、1982年に山形県金山町で制定。行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)「行政機関情報公開法」は、国の行政機関が保有する情報の公開(開示)請求手続を定める日本の法律で、1999年5月14日公布 ○「食品安全条例」 安全な食生活を営む権利 55万4000人署名 1985年 都議選 池田 1986年 チェルノブイリ事故 1988年 都、7区、16市で請願運動 否決 1989年 直接請求運動 (6) 怒りを、政治で幸せに変える 第92条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。 〇「原発の是非を決める」住民投票直接請求運動 大阪市、東京都、静岡県、新潟県、埼玉県 ※ 決定権を主権者が持つ、意見表明権 ○岩国市長選47,081票:45,299票・・1782票差で負ける 住民投票 89% 59機の艦載機受け入れ反対 ○ 砂川闘争(1955年(S・30)〜1959年(S.34)伊達判決〜1969年(S.44)米軍立川基地からの撤退 ○巻町 1996年 原発建設反対の住民投票で阻止 ・1972年5月、東北電力巻原発建設計画を発表 ・1977年12月、町議会で建設同意の決議 ・1977年各漁協の同意 ・1994年10月「巻原発・住民投票を実行する会」発足 ・12月「原発設置に関する町民投票条例」を議員提案…否決 反対95%、賛成5%) ※ 1月17日 阪神大震災 ・10月 町長リコール運動開始(住民の3分の1) 町長辞職 ・1996年1月 住民投票公約の町長誕生 |
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