狛江の保育行政の後退を許さない!        
市立2園の民営化に反対します。       

 7月1日付け『広報こまえ』は、第1面に「「狛江市立保育園民営化の指針」を策定しました」などと大書し、あたかも「民営化」が既定方針であるかのような記事を掲載しました。あとは2回の「市民説明会」でその内容を説明するだけという、まったく市民不在のやり方です。

 『広報こまえ』記事では、市立保育園を「地域の保育の拠点」と位置づけてきた矢野市民派市政の保育行政をなぜ転換するのか?その合理的な理由は説明されていません。「効率化」という、要するに人件費削減によるコスト減は、(当然、反対ですが)理屈としては理解可能です。ところが、「民営化」がなぜ「保育サービスの充実」になるのか?広報紙を読んで理解できた市民はいるのでしょうか。

「狛江市立保育園民営化の指針」の内容と問題点

 7月16日に開催した定例世話人会では、まず「指針」文書(本文わずか10)を検証しました。

 構成は次のようになっています。

1 本指針策定の目的 …………………………………………………… 1

2 民営化を進めるにあたっての基本的な考え方 …………………… 3

3 公立保育園民営化の検証 …………………………………………… 4

4 民営化対象保育園の選定 …………………………………………… 8

5 設置・運営、事業者及び民営化開始時期 ………………………… 9

市の責務 ……………………………………………………………… 10

7 民営化後の公立保育園のあり方 …………………………………… 10

 

 以下、K世話人から出されたメモから抜粋しますので、ご確認ください。

「狛江市立保育園民営化の指針」について

1 本指針策定の目的

◇狛江市の保育行政をめぐる検討経過を述べ、「民営化」の必要性を説明しようとする部分である。

◇「狛江市後期基本計画」や「狛江市第5次行財政改革推進計画(定員適正化編)」をあげ、「公立保育園6園のうち2園を民営化」が既定のように書いているが、「狛江市後期基本計画」策定における不充分な市民参加、「狛江市第5次行財政改革推進計画(定員適正化編)」は庁内検討だけであり、「2園民営化」に市民合意形成の努力をしているとは到底言えない。

◇市民の代表機関である市議会が、「2園民営化」を容認する意思決定をしたことはない()

◇「平成1811月には狛江市市民福祉推進委員会(児童作業委員会)において、公立保育園の民営化について審議した「放課後児童健全育成事業及び保育所のあり方について」で答申が提出され、この答申では民間活力の導入は否定しないとするが、それは市の福祉コスト削減の観点のみで検討すべきではなく、より適切な運営を通じて、子育て支援と多様な保育ニーズに対応し、市の保育水準の向上を図るという観点から検討を始めるべきとし、全ての保育ニーズを公立保育園のみでカバーすることが困難な場合も想定され、その場合は公設民営の方向、運営主体は実績等が十分に担保された社会福祉法人が望ましいと示しています。」と書き、民間活力の導入は否定されていないことの「根拠」にしようとしているが、この答申の検証が必要。

◇この答申では、「全ての保育ニーズを公立保育園のみでカバーすることが困難な場合…公設民営の方向」もあるという中身のようだが、「市立保育園民営化」などひとことも書いていない。

◇これでは行政の継続性に問題があるので、「市内の保育環境は、当時と比較して大きく変化しました」と書く。その中身は、

 △待機児問題は当時よりも深刻さを増した。

△民間による保育サービスが平成18年当時よりも明らかに活性化していることがうかがえる。

△早ければ平成27年度を目途にスタートする子ども・子育て支援新制度(子ども・子育て関連3法)への移行に伴う保育需要の変化。

△保育のみならず子育て家庭全体に対する課題対応も必要。

 ──など列記しているが、「市立保育園民営化」の必要性を説明するものにはなっていない。

◇にもかかわらず、いきなり「行財政改革を確実に実行することで適切な事業に適切な財源を投資することが必要です。保育行政にあっても、適切な保育運営を行い、限られた財源を有効に活用することが求められます。保育園の運営や維持管理には多くの費用が発生していることも事実であり、真に必要な経費を精査しての運営に努めていますが、同様のサービスでより効率的な保育を行うことができるのであれば、その財源を他の子育てサービスに振り分けることや保育園のさらなる充実に向けた費用に投資することが可能です。」と書いている。

◇狛江市市民福祉推進委員会(児童作業委員会)の答申をひっくり返すのであれば、行政の継続性の点からも、市民福祉推進委員会、あるいはその機能を引き継いだ「子ども・子育て会議」による検討は不可欠である。

しかし、子ども・子育て会議で検討するのは、民営化を前提とした「ガイドライン」に限定(2.の項)しているのは容認できない。

民営化を進めるにあたっての基本的な考え方

◇「民営化移行に際しても、職員の配置基準などを含め現在の公立保育園の水準を下回らない保育を実施します。」と書いている。であれば、3.の項で書いている「平成23年度における公立保育園1人あたりの運営費は、一般財源ベースで約124万円であったのに対し、私立保育園は約79万円となり、約45万円の差がありました。」のはなぜか? 要するに、保育士など働く人の人件費、賃金の差だろう。私立保育園労働者の賃金・労働条件を明らかにしていくことが不可欠である。

◇市立保育園が果たしている役割について、「狛江市全体の保育の特徴として、市域が狭く顔と顔とが繋がりやすいという特性を活かし、公立・私立保育園の園長が保育の質の向上のため一堂に介する公私立園長会を定期的に開催しています。この公私立園長会での成果の一例として、公立・私立の垣根を越えて現場の保育士がお互いの保育園に入り学ぶ「交換派遣研修」や公私立保育園が一致協力して年に1回それぞれの保育園の保育内容を紹介する「保育展」の開催などがあり、狛江市の保育環境は、公立・私立に関係なく市全体で保育の質の向上を目指そうとする精神があります。このように、他市にはみられない狛江市の保育環境は民営化を進めるにあたっても堅持します。」と書かざるをえない。しかし、地域における子育ての拠点として、更なる役割が求められる市立保育園という視点を意図的に排除している。

公立保育園民営化の検証

◇この項は、平成18年の狛江市市民福祉推進委員会(児童作業委員会)の答申「放課後児童健全育成事業及び保育所のあり方について」で答申への「反論」の形になっている。

◇「昨今の待機児増加が社会問題化するなか、保育サービスを提供する側にも増加が見られ、行政が競合して実施する必要性は高くはなく、逆に民間活力の有効活用を図った方が、行政が実施主体として運営するよりも効率的な財政運営で、同程度の保育サービスを実施することが十分に期待できます。」と書いているが、「効率的」、つまり安上がりの説明がずっと続くいっぽうで、「同程度の保育サービス」を実証する記述はない。

◇「全国で53ある類似団体平均の民生部門のうち、保育園職員数については42人(42.4%)の大幅な超過となっています。」については、かなり市民にアピールすると思える。われわれとしては、だからこそ「他市にはみられない狛江市の保育環境」ができているんだ、と主張していくしかない?

◇運営コストの問題は、前述のとおり、私立保育園労働者の賃金・労働条件を明らかにして対抗するしかないだろう。

◇くせものは「保育園の新設・増築・改築等の費用で比較」である。国の補助金制度が問題であり、制度復活を政府に求めていくという主張だけでは対抗できるとは思えない。議論を深めよう。

民営化後の公立保育園のあり方

◇「民営化後の公立保育園の役割は、引続き保育の人材育成の場として確保していくとともに、公の保育施設として他の保育行政機関との連携を積極的に行うことや、私立保育園ではどうしても対応が困難な案件が発生した場合の受け皿になること、保育のあり方から子どもの最善の利益を図ることに努め、私立保育園と連携し、時には適切な指導や援助を行いながら、狛江市の全認可保育園において保育園の基準となる役割を担います。そのため残る4園の民営化については、基準となる役割のあり方、子ども・子育て支援新制度の動向、民営化移行後の2園の検証・評価などを総合的に見極め、再度検討していきます。」と書いているが、まったく信用できない。2園民営化を推進するためのきれいごとを並べただけだ。

「狛江市立保育園民営化の指針」の全体の流れからみれば、「保育園の新設・増築・改築等の費用で比較」の対象にならない4園についても、民営化しない理由はないと考えるべきだろう。

K世話人からの報告を受け、話し合いました。その結果、以下の理由から《豊かな会》として「2園民営化」に反対していくことを確認しました。

 以下の文章は、事務局長がメモと記憶を頼りにまとめた文書ですので抜けている視点などもありますし、追加して書き込んだ部分もあります。お読みなって気づいた点などありましたら、ドシドシご意見を当会事務所あてにお寄せください。

また、世話人会の論議では、幅広い市民とともに運動をつくりだす方向性がまだ出たとは言えません。読者諸兄姉からのご意見・ご提起などをお待ちしています。

矢野市民派市政は、市立保育園を「地域の保育の拠点」と位置づけてきた。

 K世話人の文書でも触れているように、高橋市政の「民営化の指針」文書は、「地域の保育の拠点」としての市立保育園の役割を無視、あるいは軽視することにより、市民の関心が、あるべき保育のあり方に向かわないように意図していると思われます。

 以下の引用は、昨年3月の予算特別委員会でのやりとりですが、当時の矢野

市長は、明確に「地域の保育の拠点」として市立保育園を位置づけていました。

平成24年予算特別委員会の会議録より

  小川委員 

それで次の,これも前回市長にお伺いしましたけれども,公立保育園の民営化についてお伺いをします。
 6園維持の理由は,障がい児保育の部分は公立で賄うという見解だったと思うんですね。私は前回申し上げて,ここ数年で退職者の方が十数名いらっしゃって,まず一番大事なのは子供たちの環境を守ることが大事です。あと働いている方の立場をしっかり守るというのが大事で,その中で無理のないような動かし方というのをするべきじゃないかということを申し上げたら,市長は公立は6園のままでいくんだ。その理由は障がい児保育は公立でなければ賄えないという御判断だと思うんですけれども,公立でなければいけない理由というのは,どこにあるんでしょうか。

  市長 

障がい児保育も理由の1つで,それだけを挙げたわけではございません。障がい児保育というのは,マンツーマンに近い状態でやらなければいけない例もあり,経営上から言うとなかなか負担が大きい保育になります。ですから市も補助は出しておりますけれども,私立のほうではもちろん採算,経営というのを当然考えなければいけないわけですから,なかなかどういう障がいを持った子でもどうぞというわけには1つはいかない。そういうことを前提として,保育士に対する障がい児保育の研修等も,公立ほどは重ねてはいらっしゃらない。
 そういう意味では頑張ってはいただいているし,受け入れていただいている部分,感謝はしているんですけれども,それでもできるだけ多くの障がいを持った子を保育園で入れるとなると,それは公立でやっていくことが必要だろうと,ほかの認可の私立に大きな負担をかけない。それで公立で税の部分でやっていくべきだろうというのが1点です。
 それからもう一つは,地域の保育の拠点にしなければならない。これも私立の保育園に自分の保育園施設以外のことを求めるのは,やはり酷な話だと思います。そういう点では公立保育園が幸い6園各地に配置しておりますので,そういうところで家庭で子育てをしている方々の相談相手になるように,園庭開放や保育相談等もやっていくと,そういうのも公立保育園の大きな役割であろうと。
 それからもう一つは,認証のようになかなか体制が十分じゃないところに,公立保育園のノウハウを伝えていく,アドバイスをしていく,そういう役割は現在本当に認証保育園からは喜ばれております。そういうのも私立保育園でやってくれということは,人を置かなければなりませんからできません。そういう意味でも,公立保育園の存在というのは必要だろう。私立のそれぞれの伝統や特色は大事にしなければなりませんけれども,公立保育園でなければいけない理由というのは,そういう点には言えると思います。

「民営化の指針」でも前掲のとおり、市立保育園の果たしている役割について、

「公立保育園の役割は、引続き保育の人材育成の場として確保していくとともに、公の保育施設として他の保育行政機関との連携を積極的に行うことや、私立保育園ではどうしても対応が困難な案件が発生した場合の受け皿になること、保育のあり方から子どもの最善の利益を図ることに努め、私立保育園と連携し、時には適切な指導や援助を行いながら、狛江市の全認可保育園において保育園の基準となる役割を担います。」と書いています。

 だったら民営化なんかするなよ、と思いますが、この文言が出てくるのは、 民営化後の公立保育園のあり方」の項であり、「残る4園」についてなのです。

 市立保育園が果たしている「地域の保育の拠点」としての役割は、市民周知のことなので否定はできないが、それを強調すると「民営化」の目的が「効率化」、つまりは働く人の賃金・労働条件の切り下げであることが明らかになり、市民福祉推進委員会(児童作業委員会)の答申に背いてしまう、こうした「矛盾」に苦労しているようです。

そもそも狛江の認可保育園が少なすぎる。既設保育園の民営化より、社会福祉法人の力を生かして認可保育園の増設を図るべき

4年前、《狛江手づくり財政白書をつくる会》が市民版財政白書第2号を作成しました。(残部あり。当会事務所が間借りしている【みんなの広場】でも1部800円で販売中です。)

その中に、公立・市立を合わせた認可保育園の定員数を他市と比較した表が載っていました。三多摩の類似団体(総務省が定めた人口・産業等の基準で類似するとされたもので、国立・東大和・清瀬・武蔵村山・稲城・あきるの・福生が該当、「類団」と略称)8市の平均が1,325名、狛江市は862名で実に463名も少なかったのです。これは「平成19年度」の数字で、今年春、狛江では2園の市立保育園が新設されましたが、それでも当時の平均定員数より約300人少ない現状です。当然、類団の他市でも認可保育園が増設されているはずですので、その格差はさらに大きくなっていると思います。(この件で新しい数値を入手済みの方は情報提供ください。)

しかし、「民営化の指針」はこの事実、つまり市行政が力を入れるべきことは、既設保育園の民営化より、社会福祉法人の力を生かして認可保育園の増設を図ること、国・都・市有地を活用して認可保育園の増設を進めることが市民の願いに応える道であることをまったく考えていません。

高橋市政が作成した「民営化の指針」では、宮前・和泉の2園の改築に合わせて民設民営の保育園に転換する「理由」として、保育園の新設・増築・改築等の費用の比較をあげ、次のように書いています。

保育園の新設や改築といった施設整備は、国が平成18年度から公立保育園に

ついては補助制度を廃止し、私立保育園のみの制度としました。そのため、これまでの公立保育園の整備についても基本的には国からの補助はなく、基金の取崩しや起債(借金)により財源を賄ってきました。今後和泉保育園を公立保育園として整備する場合は、同様に基金の取崩しや借金に頼ることにならざるを?ません。しかし、平成25年4月1日に開設した私立保育園である虹のひかり保育園やぎんきょう保育園は、国からの補助を利用した新設となっているため、市の財政的な負担は大幅に少なくなっています。

 皆さん、どう思います? 公立保育園を今後は造らせないという、政府による補助金の廃止が問題なのです。市民福祉に直接の責任をもつ基礎自治体として、公立保育園施設整備への補助金復活を求めるのが市の第一の仕事です。とはいえ、すぐに補助金復活が実現する状況にはありません。逆に現政府は、「子ども・子育て新システム」、「民間活力導入」などと称して、子育ての「産業化」、大企業による金儲けの場にしようと「知恵」を絞り合っています。そのためには、認可保育園の設置基準の「規制緩和」は必至になっています。つまり、現在の私立保育園設置への補助金制度、保育所緊急整備事業補助金等の行く先も不透明というのが現状です。

宮前・和泉の2園の改築については、矢野市政当時に策定した施設整備計画で、財源見通しを含めて計画化されていますので、市の財政運営上、行政の継続性を無視して方針転換し、2園を民営化しなくてはない、市立保育園として継続できないような、切迫した財政事情は発生していません。

 市行政に問われているのは、繰り返しなりますが、社会福祉法人の力を生かして認可保育園の増設を図ることなのです。国・都・市有地を活用して認可保育園の増設を進めることが市民の願いに応える道なのです。

 民営化は市民福祉推進委員会の答申に背き、行政の継続性を無視した、市民不在の提案である

市民福祉推進委員会は、狛江市福祉基本条例に規定された「市長の附属機関」です。条例は次のように規定しています。

狛江市福祉基本条例

 

(市民福祉推進委員会)

26 市長の附属機関として,市民福祉推進委員会(以下「委員会」という。)を置く。

2 委員会は,次の各号に掲げる事項について調査,審議し,必要な意見を具申する。

() 福祉のまちづくりに関わる基本的な事項に関すること。

() 第5条に規定する福祉計画の策定及び改定に関すること。

() 市民福祉の推進及びその調整に係る重要事項に関すること。

() 第5条各号の規定に基づき市が実施する各種福祉サービスについて,行政不服審査法(昭和37年法律第160号)に基づきなされた不服申立に関すること。

() 次条に規定する評価に関すること。

() 前各号に掲げるもののほか,市長が必要と認めた事項

3 前2項に定めるもののほか,委員会の組織及び運営に関し必要な事項は,市長が別に定める。

この「市長の附属機関」である市民福祉推進委員会が2006年、当時の矢野市長に提出した答申、「放課後児童健全育成事業及び保育所のあり方について」は、

「全ての保育ニーズを公立保育園のみでカバーすることが困難な場合…公設民営の方向」もあるという記述はありますが、既設市立保育園の民設民営化を容認することなどひとことも書いていません。

「民営化の指針」文書では、「市内の保育環境は、当時と比較して大きく変化しました」と書いていますが、例え「変化」があったとしても、狛江市福祉基本条例に規定する「市長の附属機関」の答申を行政側の都合だけで変えてしまうやり方は、行政手続き上も許されない、ひいては市民不在の行政運営と言わざるをえません。

高橋市長が市立保育園の民営化をどうしてもやりたいのであれば、まず市長の附属機関」である市民福祉推進委員会に諮問する手続きをとるのは当然のことです。

「効率化」とは結局、働く人の賃金・労働条件の切り下げだ

 

「民営化の指針」文書では、「民営化移行に際しても、職員の配置基準などを含め現在の公立保育園の水準を下回らない保育を実施します。」と書いています。

であれば、3.の項で書いている「平成23年度における公立保育園1人あたりの運営費は、一般財源ベースで約124万円であったのに対し、私立保育園は約79万円となり、約45万円の差がありました。」のはなぜか?を説明してほしいのですが、詳しい記述はありません。

要するに、保育士など働く人の人件費、賃金の格差と考えられます。

狛江の私立保育園労働者の賃金・労働条件の資料が入手できていませんが、立川市の資料(チョット?古く、2006年度当時と思います)があります。

◇立川市の公立、私立の正規保育士の現状はどうかというと、公立の平均年齢は40歳、年齢構成でいえば20代、30代、40代、50代が満遍なく分布しています。一方、私立の平均年齢は32歳で、年齢構成比は20代が圧倒的に多く47.1%、30代が29.4%で、20代、30代の構成比率が約7割3分を占めているという極端な年代構成となっています。正規保育士の平均勤続年数は、公立で19年、私立で8年と、11年もの差があります。

では、なぜ私立保育園の定着率が低いのでしょうか。2007年度の正規保育士数は、公立134人、私立294人ですが、公立、私立の保育士の過去5年間の産休・育休の取得状況を見ると、私立のほうが保育士数で約2.2倍、20代、30代の人数では約3.4倍の人数であるにもかかわらず、産休の取得者数は公立で5.4人、私立で9.4人、育休の取得者も公立11.4人、私立9.4人と、私立の産休・育休の取得者数が極めて少ないことがわかります。しかも、私立17園中2園は、過去5年間、産休・育休ともゼロで、全くないという状況です。立保育園労働者の労働実態の一端が見えたと思います。社会問題化している不安定雇用を増やすことに行政が手を貸すような、市立保育園の民営化は許してはならないと、あらためて確信します。