消費税は広く国民から徴収できる安定財源として、福祉のためだとして1989年に導入されました。しかし、所得の低い人ほど負担の重い「逆進性」の強い税制です。低所得の人ほど、生活費が収入に占める割合が高く、消費税の割合も高くなるからです。社会保障の財源には「累進制」のある所得税や法人税をあてるべきです。これは、憲法25条から導かれる「応能負担の原則」による考え方です。
ところが、消費税が導入されてから30年。その税収は300兆円を超えていますが、実際にはそのほとんどが法人税や高額所得者の減税の穴埋めに使われています。大企業の増収増益が史上最高などと報じられても、私たち庶民にはいっこうに景気が良いなどとは感じられません。むしろ、医療費や年金保険料の負担、介護保険制度は年々悪化しています。こんな中での消費税増税は止めて、今こそ税制の改善に向かうべきです。
消費税増税は、一般消費者や中小事業者に重くのしかかってきますが、今回の消費税増税は税率がアップするだけではなく、これまでとは異なる問題点があります。
まず、新たに導入される軽減税率は、複雑さがいろいろ報道されているように消費者にとって非常に分かりにくい制度となっています。事業者にとっても仕入れ・販売の両面で8%と10%の区別をして領収書や帳簿の整理をしなければならず、その手間はとても大変なものです。
また、ポイント還元制度が導入され、中小企業からキャッシュレス(カードや電子マネー)で購入した場合には5%(フランチャイズ店では2%)を国が補助して消費者に還元するとしていますが、来年6月までのわずか9ヵ月間だけの措置です。そのために中小事業者はキャッシュレス決済のための端末機を備えなければなりません。それも国とカード会社等が補助するとしていますが、この9月末までに発注したものに限られていますし、ほとんどの商店では対応できていません。さらに、補助の切れる来年7月からはカード会社に決済手数料を支払わなければなりません。
一般商店にとっては使いにくいポイント制度ですが、こんなところからも利益を得ようと中規模スーパーなどが減資(資本金の減額登録)をしてまで、この制度の対象になる動きがあります。そうなるとますます小売商店からスーパーに客が流れてしまって、商店の経営がいっそう厳しくなるおそれがあります。近所の商店が無くなって困るのは、一般消費者、とくに高齢者です。
狛江では、こまえ社会保障推進協議会が、市議会に「消費税再増税の中止を求める意見書」を国に対して提出するよう陳情を出し、7月25日の社会常任委員会で採択されましたが、8月29日の本会議で否決されています。狛江は大企業よりも中小業者や一般小売店が多く、庶民の多く住む街です。こんな自治体からこそ国に対して声を上げていくべきではないでしょうか。
法制度を作るのは国会です。国政野党には税制の問題点を明らかにして共同して、ぜひ増税中止・減税の法案を提出してもらいたいものです。
「狛江消費税をなくす会」では、毎月第4水曜日の夕方(5時半~6時半)、狛江駅頭で消費税の問題点を宣伝し、署名を集める行動をしています。このような行動は、全国でおこなわれています。狛江からも市民の意志を国会に届けていきましょう。ぜひ多くの皆さんもご参加ください。
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