特別寄稿

狛江市に「気候非常事態宣言」をさせる運動を立ち上げませんか

増田 善信 

 1月13日23時にNHKBSは「気候クライシス」のタイトルで、地球温暖化の進行によって世界の各地で発生している深刻な異常気象の被害の実態を放映した。そこでは、干ばつと豪雨で158万人が犠牲になったアフリカのサヘル地方、7800戸の民家にまで延焼したカリフォルニアの大火災、1日に125トンもの氷が解けているグリ−ンランドの氷河、水浸しになったベネチア、過去2番目に強いハリーケーンに襲われたバハマの惨状の映像などが次ぎ次と映し出された。わが国でも台風15号、19号の強風と豪雨で阿武隈川、千曲川など国管理の14水系33河川、都道府県管理の61水系292河川で越水や氾濫・排水不良で静岡県や新潟県、関東甲信地方、東北地方を中心に広い範囲で大きな被害を受けた。オーストラリアの山火事は今でも続いており、コアラの3匹に1匹は死んだといわれっている。このまま温室効果ガスを放出し続けると、21世紀末には地球の平均気温は4℃に達し、もしかすると後戻りのできないティッピング・ポインットを超え、人類の生存さえ危ぶまれる事態が起こるかもしれないのである。

 2016年、日本を含む175の国と地域は、この気候変動の脅威を回避するために、「産業革命前からの気温上昇を2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求する」ことを目標に、「パリ協定」を締結した。しかし、その具体化のために昨年12月にスペインのマドリッドで開かれたCOP25は、国別の温室効果ガスの削減目標を決めることができなかった。まさに気候非常事態である。

 この気候非常事態を自治体から変えていこうということで、オーストラリアの南東部の自治体デアビン市が2016年12月に始めた運動で、わが国でも壱岐市、鎌倉市、長野県、長野県白馬村、福岡県大木町、鳥取県北栄町、堺市が、世界では25か国、1261自治体が宣言している(2019年12月20日現在)。

添付資料1と2は、昨年12月16日に、狛江市議会の閉会前に私が単独で請願しようと思って作った「案」である。急遽、賛同者を募って提出しようと思ったが、このような宣言を少数の発案で出すのは好ましくないと思って、仕切り直しをすることにした。

市民の皆さんのご意見を伺いたい。また、添付資料の宣言(案)、陳情書(案)についても忌憚ないご意見をお寄せいただければ幸いである。(2020・1・19)


資料 1

狛江市議会議長 様                      

「狛江市気候非常事態宣言」に関する陳情書

 

貴議会が教育、福祉を初め地方自治、住民生活の向上と地域の発展のために日夜ご尽力されておられることに心から敬意を表します。

世界各地で熱波、山火事、洪水、海面上昇、干ばつなど極端な気候変動が激増しています。わが国でも、猛暑、台風、集中豪雨、洪水などの気象災害が頻発し、わが狛江市でも、201910月、台風19号の豪雨により、床上浸水の被害が起こるまでになりました。地球温暖化のせいだといわれています。

2016年、日本を含む175の国と地域は、気候変動の脅威と、それに対処する緊急の必要性を認識し、温暖化に対して「産業革命前からの気温上昇を2より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求する」ことを目標にした「パリ協定」に署名しました。

そして今、スペインの首都マドリードで、国連気候変動枠組み条約第25回締結国会議(COP25)が開かれ、国際的な対処方が議論されています。スエーデンの高校生が訴えているように、残された時間はわずか8年ほどしかないほど状況は切迫しているのです。

それにもかかわらず、温室効果ガス排出量は増加の一途をたどり、2018年の二酸化炭素(CO2)排出量は過去最高の約331億トンに達したと国際エネルギー機関(IEA)が報告しています。まさに、脱炭素化社会の実現が急務になっています。

このような状況の中で、オーストラリア南東部の自治体デアビン市が201612月に初めて気候非常事態宣言をしてから、世界の各地でこの宣言が行われ、その数はすでに世界で1244自治体、3国家(20191210日現在)に達しています。

わが国でも、壱岐市、鎌倉市、長野県、白馬村で宣言されています。狛江市もこの動きに呼応し、「狛江市気候非常事態」を宣言し、狛江市民はもちろん、周辺住民、政府など官民挙げて、気候変動の重要性を理解し、温室効果ガス削減の運動に立ち上がる必要があると考えました。

貴議会におかれましては、この趣旨をご理解いただき、「狛江市気候非常事態宣言」をご採択くださるよう陳情いたします。

令和元年1216

陳情代表者

増田善信 和泉本町2−18−13

賛同者 (お名前は割愛しました。)


資料 2

       

狛江市気候非常事態宣言(案)

 

 2016年、日本を含む175の国と地域は、気候変動の脅威と、それに対処する緊急の必要性を認識し、温暖化に対して「産業革命前からの気温上昇を2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求する」ことを目標にした「パリ協定」に署名しました。

 

2017年、すでに世界の気温上昇は1℃に達し、世界各地で熱波、山火事、洪水、海面上昇、干ばつなど極端な気候変動が激増しています。わが国でも、猛暑、台風、集中豪雨、洪水などの気象災害が頻発し、わが狛江市でも、201910月、台風19号の豪雨により、床上浸水の被害が起こるまでになりました。

 

スペインの首都マドリードで開かれている国連気候変動枠組み条約第25回締結国会議(COP25)で、トンガのトゥイオネトア首相は、海岸浸食などの被害を受けている同国の現状に触れ、「われわれがいつも“ふるさと”と呼ぶ地球」と述べたと報じられています。まさに、今、「“ふるさと”と呼ぶ地球」が生き残れるかどうかの気候危機に直面しているのです。

 

それにもかかわらず、温室効果ガス排出量は増加の一途をたどり、2018年の二酸化炭素(CO2)排出量は過去最高の約331億トンに達したと国際エネルギー機関(IEA)が報告しています。まさに、脱炭素化の社会実現が急務になっています。

 

このような状況の中で、オーストラリア南東部の自治体デアビン市が201612月に初めて気候非常事態宣言をしてから、世界の各地でこの宣言が行われ、その数はすでに世界で1244自治体、3国家(20191210日現在)に達しています。

 

よって、狛江市と狛江市議会が、この動きに呼応し、下記の事項を誠実に実施し、地球温暖化の防止に資するために、「狛江市気候非常事態」を宣言する。

 

1、「気候危機」が迫っている実態を市民に周知する。

 2、2050年までに温室効果ガスのゼロエミッションを達成するためあらゆる努力を行う。

 3、狛江市らしい自然エネルギー都市を目指す。

 4、他市などと協力して、国に脱炭素社会の早急な実現を要求する。

 
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