1.憲法違反の戦争法は強行採決されたがあきらめない
私は、「戦争なんてイヤダ!狛江市民実行委員会」に一市民の立場で参加しています。
狛江でも戦争法反対のデモをやろうではないかと、発足したのがこの実行委員会です。3回もデモをやりましたが、毎回200名規模の多くの市民が参加して頂きました。戦争法反対という同じテーマで6,7、9月と3回も続けてこれほどのデモをやったのは狛江市では初めてのことではないでしょうか。この取組みの中で、戦争に反対する市民のみなさんの強い思いを私はひしひしと感じました。
戦争法は、残念ながら、強行採決されてしまいましたが、私はあきらめません。回りの政治状況がどうあれ、「人を殺し、人から殺される」戦争は絶対イヤだからです。
安倍内閣の政治のやり方は「法的クーデター」「立憲主義破壊・法治国家破壊」であり、個人の自由と尊厳を踏みにじる「専制主義・独裁政治」に支配されるのも絶対イヤだからです。
この間の戦争法案反対の国民運動は、シールズ、ママの会、学者の会、高校生などかってない程の幅広い層の多くの市民が結集し、しかも一時的・一過性でない、直ぐには枯れそうもない民主主義が根付いてきているように感じます。私は、それらの大きな動き/うねりに励まされながら、戦争法を廃止させるまで粘り強く活動を続けていこうと思っています。
2.「アベノミクス第二ステージ」の欺瞞、もう騙されない
(1)「希望」「夢」「安心」の新3本の矢
さて、みなさん。安倍政権は9月19日、参議院で戦争法を強行採決した後、何をやってきたでしょうか? 国会での暴挙も覚めやらない直後、自民党の総裁を継続することになった安倍は、アベノミクスの第二ステージだとして新3本の矢なるものを仰々しく打ち出して来ました。
・第1の矢は「希望を生み出す強い経済」
第2の矢は「夢をつむぐ子育て支援」
第3の矢は「安心につながる社会保障」
「希望」・「夢」・「安心」のための新3本の矢を放ち、「一億総活躍社会」の実現を目指すと言うのである。
・「海外で戦争できる国づくり」のために戦争法案を圧倒的国民の反対を押し切って強引に採決し、立憲主義・民主主義を蹂躙してきたその直後に、「希望・夢・安心」の矢を放つなどとよくぞ言えたものです。これほど白々しく、国民を愚ろうするものはありません。
(2)参議院選挙を意識した党利・党略
「希望・夢・安心」なるものの政策の中味を具体的に知れば知るほど、インチキ性・出鱈目さが判ります。こんなものに私たちは騙されてはいけません。
2,3の具体例を示します。
・明日への「希望」は強い経済なくして生みだせない、「経済最優先」だとして「1億活躍社会緊急対策」の経済政策でトップに掲げているのは、財界が強く要求している法人税率の引き下げです。「2016年度の引き下げ幅を確実に上乗せし、早期に20%代に引き下げる」というのである。
私たち国民には、2017年4月からは消費税を8%から10%へのアップを押し付けていながらです。どうしてこれが「希望」の政策になるのでしょうか。法人税の引き下げ分を消費税増額で賄い、財界に「希望や安心」を与えるものに過ぎません。
最近では、消費税の値上げに反対する国民の強い批判を躱(かわ)そうとして、自公が結託して決めた「軽減税率」(財源約1兆円かける)というのもごまかしの極みです。まるで国民の税負担を軽くするかのようにPRされていますがとんでもありません。
消費税を8%から10%に上げると増税分は5.4兆円にもなり、「軽減税率」はその2割位の過ぎず、消費税10%の負担は依然として重くのしかかります(負担増は、1家族当たり4万円以上になる)。
「軽減税率」は所得の低いほど負担が大きくなるという消費税の「逆進性」を緩和させる措置だとしているが、食品は富裕層ほど、お金を使っており、食品にかかる税だけ下げても、高額所得者の方に有利に働き「逆進性」はなんら緩和されません。
また、「軽減税率」の財源(1兆円)を捻出するために、低所得者の救済を目的につくられた「総合合算制度」(4000万円予定)(注)の計画まで取りやめるというのです。ひどい話ではありませんか。
(注)医療、介護、保育などの自己負担分について、総額の上限(例えば世帯所得の10%などという)を設け、それを越えた分を公費負担とする制度。
・また、「安心につながる社会保障」としては、「介護離職ゼロ」を政策の目玉として打ち出し、緊急対策として、介護施設など「50万人」を増やすなどと言っております。介護施設は慢性的な職員不足で、閉鎖や受入を制限する施設が増えています。安倍内閣が4月に改定した介護報酬の大幅引き下げにより、介護施設の経営は一層困難になっています。介護労働者と全産業労働者の平均の賃金差は月額にして10万円にもなり、介護職では食っていけないと辞める人が後を絶ちません。「介護離職ゼロ」を本当に目ざすならば、介護職員の処遇改善を対策の最優先にすべきです。とろこが処遇改善については一言も触れていません。こんな出鱈目な政策はありません。「絵に描いた餅」です。
・このように、安倍政権が打ち出している第二アベノミクスなるものの中味は、真に国民の生活改善を目指したものではありません。
戦争法での暴挙で高まった国民の批判(世論調査でも一時は内閣支持率は30%代に落ちて、不支持が支持上回った)を躱し、来年の参議院選挙を乗り切るための党利・党略のためと言わざるを得ません。
今の安倍政権は、来年の参議院選挙を首尾よく乗り越えるのを最大の課題としています。憲法で保障された臨時国会の開催を求める野党の要求を拒否し続け(憲法53条違反)、安倍政権の問題点が国会の場で明らかにされるのを回避しながら、南スーダンへの自衛隊派兵など戦争法発動に向けての具体的準備、ISテロ対策を口実にした市民運動の弾圧にもなる「共謀罪の導入」、「盗聴法の拡大」/「司法取引の新設」(注)など「戦争する国づくり」と一体の治安立法の強化を画策しています。参議院でも圧倒的勢力をにぎり、戦争法の発動はもとより、さらに憲法本体の改正にも踏み出そうとしています。
(注)盗聴法の拡大と司法取引の導入を含む「刑事訴訟法等の一括改正案」として、すでに参議院の継続審査に付されている。
3.安倍内閣に替わる新しい政府の樹立を!これは「市民革命」である
安倍政権のこうした野望を阻止し、戦争法を廃止させるにはどうしたらいいでしょうか?
市民の統一運動をさらに強め、その力を安倍内閣に替わる新しい政府の樹立に結実させることしかありません。私たちが当面求める新しい政府とは、近代法治国家の原則である立憲主義を守る立場に立つこと、安倍内閣以前の歴代の自民党が憲法解釈上で取ってきた立場=集団的自衛権の行使容認は憲法違反とし/「専守防衛の立場」に戻れる政府だと私は思います。そのためには、選挙戦では、野党同士が足の引っ張り合いでなく協力しあうよう市民の側から強く働きかけ、集団自衛権の行使を容認した閣議決定の撤回、安保関連法の廃止、立憲主義・民主主義の立場に戻る、この3点で一致できる議員を一人でも多く当選させることです。来年の参議院選挙では、少なくとも32ある1人区が選挙協力の対象になるのではないかと思います。
このような市民の力で戦争法を廃止し、立憲主義・民主主義を取り戻す運動は、戦後70年にして迎えた「市民革命」だと言えるのではないでしょうか。
戦争法廃止まであきらめることなく、意気高くがんばりましょう。。
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