社会保障推進協議会(社保協)は、日本の社会保障制度の改善をめざし、労働組合、医療、福祉関連の諸団体、女性団体などの組織が集まり、1958年に中央社会保障推進協議会として創設され、生活保護基準の引き上げや、老人医療費無料化の運動、年金・介護などの改善運動を進めてきました。現在では47都道府県全てに社保協があり、市区町村を基礎にした組織も250団体あります。
日本の社会保障の現状は、憲法25条(生存権、国の社会的使命)の実現には程遠い状況が続いています。にもかかわらず安倍政権は、「社会保障制度改革」と称する、社会保障制度そのもの破壊しようとする動きを強めています。
狛江市でも、市立保育園2園の民設民営化の提案、待機児童問題の深刻化、生活保護制度の「厳格化」など、市民の切実な願いはかなわず、社会保障を後退させる動きが強まっています。
このような状況のなかで、地域から社会保障制度を充実させる運動を広げることがたいへん重要になっています。狛江市でも社保協を設立しようと、当会も含めた9団体が呼びかけ団体となり準備を進めてきました。
9月1日、《こまえ社会保障推進協議会(こまえ社保協)》設立総会が開催され、会場の東京土建・狛江支部会館には42人の皆さんが結集しました。
設立総会では、各呼びかけ団体の代表からの発言、駒沢短期大学教授・福川須美さんによる「保育園の民営化を考える」記念講演などを受けた後、規約案、役員人事案、運動方針案が提案され、いずれも承認されました。
《こまえ社保協)》には、市民の命と暮らしを守ろう、憲法25条を実現しようという、狛江における新たな市民運動の推進役が期待されています。
以下、会長に就任された岡村誠さん(こまえ年金者の会)から寄稿いただきましたので、掲載いたします。
人間を大切にする社会保障を
こまえ社会保障推進協議会会長 岡村誠
秘密保護法案が大騒ぎになっているその時に、国会では生活保護基準の切り下げに続き「社会保障プログラム法案」の採決が強行されました。これは医療、介護、年金、子育てなど社会保障の4分野にわたる制度改悪を政府にスケジュールを決めて実行するように義務付けたものです。
たとえば医療では70歳から74歳の患者負担を1割から2割に引き上げる、介護では要支援者を保険給付から外す、年金では給付額を毎年1%程度下げるマクロスライドを物価下落時でも導入する、また支給開始年齢を見直す、保育では公的責任を放棄する新システムに変更するなど国民の負担増と給付の抑制の方向性を列挙していますが、具体的な中身を法案には書き込まずに、実施の目標年次だけは決めるという国会史上初めての異常な法案です。
国民が政府に実施を義務付けている憲法には「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と書かれています。自民党の改憲案でさえ、「国民のあらゆる側面について」と少し言葉は変えましたが中身を変えることはできませんでした。しかし、憲法に何が書いてあろうが、また自分たちがどう書こうが、やりたくないことはやらなくてもよい、反対のことをやってもよいと考える政府とは何なのでしょうか。
特定秘密保護法もどうにでも運用できるようになっていますが、中身を広く知らせてじっくりとみんなで話し合って決めていくという当たり前のことができない安倍内閣は、本当に恐ろしい集団だと思います。
社会保障は人が病気や生活苦、子育てなどで困ったときに支えとなるものでなければなりません。根底には人間愛が貫かれていなければならないと思います。本当に人間を大切にする社会保障をめざして「こまえ社会保障推進協議会」は皆さんと力を合わせて前進したいと思います。
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