《豊かな会》に加盟している《こまえ年金者の会》から要請文が届いていますので、その全文を掲載します。募金にご協力いただける方は、お手数ですが、ご都合のよろしい時に、当会の暫定事務所として利用している「みんなの広場」
(担当=絹山)までお届けください。
こまえ社保協参加団体のみなさまへ
「年金引下げ違憲訴訟」募金へのご協力のお願い
◎次々と削られる社会保障費(医療も介護も年金も)
安倍内閣は大企業・富裕層優遇の政策を推進する一方で、年金、医療、介護などの社会保障削減計画を推し進めています。
2016年12月15日、政府与党は医療制度見直しを決めました。「70歳以上の高額療養費・上限月額の引き上げ(月2,000〜13,200円増)」「75歳以上の後期高齢者医療の『特例軽減』を段階的に廃止(保険料が2〜10倍に)」「65歳以上の療養病床の居住費引き上げ」等医療費の負担増と給付減が目白押しです。
介護でも一定以上の所得の人の自己負担を2割から3割へ引き上げや現役世代の介護保険料の引き上げ(総報酬制への変更)を決めました。今回は見送られましたが、社会保障審議会医療保険部会では介護利用料1割から2割負担になる人を増やす、要介護1、2の生活援助サービスを保険から外す、福祉用具の貸与や住宅改修サービスを保険から外すなどが検討されています。
そうした中、今国会で強行された「年金カット法」は@物価と賃金が下がった場合は、より下がるほうに合わせる、A物価が上がり賃金が下がった場合は賃金に合わせる、B物価が下がり賃金が上がった場合は物価に合わせる、C物価も賃金も上がった場合は低い方に合わせるというものです。
最初の3つの場合はすべて年金額が前年度分より下がります。最後のケースの場合、年金額が少しは上がるかと思うとそうはいきません。「マクロ経済スライド」という毎年1%程度下がる仕組みがあり、年金が上がった分からその分が差し引かれます。「マクロ経済スライド」は年金が下がった場合は翌年に繰り越します。(今国会で改悪されたやり方。)どんどん積みあがっていき、やっと年金が少しでも上がった時には、前年度までに引けなかった分もまとめて年金から差し引くので、結局最後の例の場合ももらえる年金は増えません。年金カット法は“際限のない年金削減の道”なのです。
◎日本の年金制度はどうあるべきか、生存権の保障を求めた裁判
年金削減が始まったのは民主党政権の解散さわぎのどさくさの中です。民自公3党合意により、2015年11月の国会で年金を2013年10月に1%、14年4月に1%、15年4月に0.5%、合わせて2.5%の削減を決めました。これは、10年以上も前の1999年から2001年に物価が下落した際に年金額を例外的に据え置いた「特例措置」(2000年から2002年)ことによって、当初法律が予定していた水準よりも年金支給額が高くなっているから削減するのだとしました。
それまでも年金は「物価スライド」により物価下落時には減額されてきました。これ以上年金を削減するわけにはいかないので、「特例措置」は物価上昇時に解消すると決めていたのです。ところがいつまでも物価や賃金は上昇しません。そこで新たな法律を作り物価下落時(年金減額時)での更なる削減を強行したのです。
年金者組合は、この年金削減は不当だとして不服審査請求・再審査請求に取り組みましたが全て却下されました。これでは「憲法25条が保障した健康で文化的な最低限度の生活が保障されない」「物価が下落している中での『特例水準の解消を口実とした更なる減額』はないと決まっていたのだから、「憲法23条、29条によって保護される期待権に違反する」などを理由として2015年全国で年金裁判を起こしました。
「年金引下げ違憲訴訟」(年金裁判)を42都道府県で4091人が提訴しました。(狛江市からは10人が提訴)。社会福祉運動史上でも歴史的な取り組みとして期待されています。
法廷も札幌地裁をはじめとし29地裁で口頭弁論が開始され、本格的な論戦が始まっています。法廷の進行と同時に、年金裁判を世論に訴える100万枚の全国宣伝行動に取り組み、毎回の口頭弁論では全国の法廷を満杯にし、攻勢的な裁判運動を前進させてきました。
◎年金削減の最大の被害者は若い世代
裁判で国は、「公的年金で文化的な最低限の生活ができなくても憲法違反ではない。基礎年金(国民年金)に含まれるのは、衣食住と光熱費のみで交通・通信費、医療費、娯楽費等は含まない」などと主張しています。
高齢者には映画を見たり、旅行に行ったりという文化的な生活は必要ないとでもいうのでしょうか。公的年金は老後の人間らしい生活を支えるものでなければなりません。
政府は「マクロ経済スライド」で30年にもわたって年金を3割程度削減します。減らされた年金を受け取る若い世代の未来はどうなるのでしょうか。
◎「年金引下げ違憲訴訟」(年金裁判)募金へのご協力を訴えます
年金裁判は年金削減を許さず「若者も高齢者も安心できる年金制度、最低保障年金制度」をめざしています。
また、これを支持してくださる方々の募金でスタートしました。初年度は4000万円を超える募金が寄せられ、年金裁判の運動を進めることができました。募金を寄せてくださった皆様に心からの感謝を申し上げます。しかし、これは当面の弁護士費用だけの分です。狛江市では初年度は「こまえ年金者の会」の会員を中心に進めてきました。今年度は、こまえ社保協として「ワンコインカンパ(1人500円目途)」にとりくみます。
憲法を暮らしに生かす年金裁判の歴史的な運動をさらに前進させるためにはそれを支える資金が必要です。このような趣旨をご理解の上、年金裁判へのご協力をお願いします。
2017年1月
全日本年金者組合東京都本部 執行委員長 杉山文一
こまえ年金者の会 副会長 小池勲
こまえ社会保障推進協議会 会長 岡村誠
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