新年度予算案の ここが問題だ! |
2月18日に開催された、市民派市政こまえ研究所(こまえ市政研)主催の第1回市政まなび塾での論議結果を受けて、主要なところをまとめてみました。読者のみなさんのご検討をお願いします。(文責=編集部・絹山達也)
◎予算規模について
一般会計の総額は257億2500万円で、前年比+11億4700万円、4.7%増。主な理由は、庁舎耐震化・防災センター建設工事経費と、旧七小跡地の一部を市内三番目となる特養ホームの経営法人(正吉福祉会)に売却する代金(13億1800万円)が計上されためです。この収入は、財政調整基金などに積み立てられる予定です。
したがって、今の国会で審議中の政府予算案のような(7頁に掲載しました寄稿文書「自民党・安倍内閣の誕生と地方自治体をめぐる新たな動向」を参照ください。)、国債(借金)乱発による公共事業大盤振る舞い、一方での国民生活切捨てのようなトンデモ予算案ではなさそうです。
市債発行(新規借金)は約21億円で、今年度当初予算より約2億円減となっています。そううち建設国債は約8.6億円、9%減となっています。矢野市政が進めてきた10億円以下に抑制する方針が踏襲されていると言えます。しかし、道路整備や公共施設関係でかなりの設計費が計上されており、次の2015年度以降がどうなるか、注視する必要があります。
臨時財政対策債は12.5億円で、前年比−1.25億円、9.1%減となっていますが、発行可能額全額を計上しています。高橋市長は「30%カット」を公言してきましたので、昨年9月の市議会で可決された補正予算と同じように、今年後(H24年度)の決算剰余金が出た段階で臨時財政対策債を削減するつもりかも知れません。
◎一般会計予算案の特徴と問題点
◇矢野市民派市政が進めてきた保育園の待機児解消、公共施設の耐震化、給食センター整備などの計画は、その大半が予算化されています。切実な市民要望を考えれば当然ともいえますが、歓迎すべきことだと思います。
◇認証保育所保育料補助制度の新設、給食食材等の放射能検査の実施、住宅対耐震改修への補助金引き上げなどは、不充分な部分もありますが、市民の切実な要望に応えたものです。
◇土木費関係では、道路維持費が約5倍の約1.1億円に増えており、後年度の工事に向けた設計が12路線もあることが目立ちます。いずれも生活道路の整備であり、市民要望に沿うものと言えますが、今後の財政負担の見通しや無駄遣いの排除など、市民側からチェックしていく必要があります。
◇また、都市計画道路3・4・16号線(一中通り、中電研南側)の事業認可に必要な調査費等として約1700万円が計上されています。この計画は、矢野市政でも整備が必要な路線として位置づけられていました。しかし、道路南側の住民に直接影響の出る計画路線であり、ルートを中電研側へ変更する可能性を含めて、近隣住民との充分な協議が必要であり、調査費等の計上は唐突の感がします。
◇市民の切実な要望に反して、住宅リフォーム助成を廃止、介護保険利用料の軽減制度を見送りました。さらに、選挙公報で高橋市長が公約した幼稚園保護者補助金や「北部地域に3番目の児童館」も予算化されていません。
◇高橋市長が昨年11月に市役所内部だけで策定した「公共施設整備計画」では、三中の旧四小跡地への移転の中止を決めてしまいました。これに伴い、移転後の三中跡地に計画されていた新図書館建設も宙に浮いてしまいました。
図書館の充実は、多くの市民の熱い願いです。三中移転中止となれば、現在の市民センター(築36年)を建て替えて増床をおこない、図書館・公民館、その他の機能の充実を図るのも選択肢になりうると思います。
新年度予算案では市民センターの耐震診断経費が計上されていますが、建て替えの可能性を含めた検討をおこなうべきです。
◇「公共施設整備計画」では、市民活動支援センターと障がい者就労支援の場について「空き店舗等の活用を検討」としながら、新年度予算案では何の予算措置もありません。
◇高橋市長は選挙公報で、「水道道路は歩道を広げ、自転車や歩行者の安全を確保します」、「水道局用地に防災公園の機能を有する市民運動場を整備します」と公約しましたが、関連経費の予算計上はありません。「4年間で私はやります」は大丈夫なのでしょうか。
以 上