狛江市のホームページに「庁議の概要」というページがあります。原則、毎週火曜日の午前に開かれる庁議の様子を垣間見ることができます。一昨年8月からは、庁議で配布された資料の一部もそのまま掲載されるようになり、“開かれた市政”度はさらに高まったと言えます。
とは言え、なかなかホームページを覗く時間もないという方が多いと思います。「庁議の概要」5月分、6月分から役立ちそうな資料を掲載します。
■被災地支援の状況が報告された。(6月7日)
6月7日の庁議に総務部・福祉保健部より、東日本大震災被災地への支援活動のその後の状況が報告されていますので、その部分を掲載します。
〔総務部・福祉保健部からの報告〕
(1)石巻市への人的支援についてです。6月1日に石巻市の人事課長と人的支援について調整をし、6月6日に避難所の管理運営について支援をしていた神奈川県と全日本自治団体労働組合の派遣が終了したため、避難所の管理運営に協力をお願いしたいという連絡が来ました。6月10日から約1ヶ月間にかけ、1週間交替で職員を4人ずつ4回派遣をします。避難所2ヶ所に職員を2人1組で配置し、職員の宿泊先は、避難所となります。第1陣は、現地での交通手段を確保するために往路は庁用車で向かい、第4陣の復路で庁用車を持ち帰り、それ以外の交通手段は鉄道となる予定です。人選は職員課で行いますので、各部署の協力をお願いします。第1陣は、職員課の森主事、総務課の高橋主事、納税課の金谷主事、学校教育課の大久保主事となります。
(2)狛江市社会福祉協議会ボランティアセンターが、狛江市との共催により、東日本大震災復興支援ボランティア・バスパック事業を企画し、実施することになりました。活動場所は、石巻市災害ボランティアセンターです。被災から3ヵ月が経過しましたが、現地の災害ボランティアセンターの運営スタッフも多くの方が被災者ということで、負担が大変大きくなっています。そのような状況に鑑み、狛江市民のボランティアの力を借り、被災地にできるだけ負担をかけず、復興支援を行いたいと考えています。なお、市としては、バス費用の負担と職員2人の同行派遣を行います。
今後市民向けに、ホームページ等で周知し、6月8日にあいとぴあセンターにて説明会を開催の上、参加者を決定していきます。実施日は6月19日、定員は25人程度を予定しています。
〔主な質疑・意見等−回答〕
・PR等は、既に行っていますか。
−ホームページ等で既にPRを始めています。
■市長挨拶 「市長への手紙」で苦言(6月15日)
6月15日の庁議で矢野市長が挨拶し、「市長への手紙」をめぐって苦言を述べ、是正を求めました。その部分を掲載します。
〔市長挨拶〕
「市長への手紙」についてです。平成13年6月にスタートした「市長への手紙」制度が、今月で10周年を迎えました。当初は、市民の質問やべ、意見に行政が手紙という形式で返事をする習慣がなかったため、文章の書き方から回答のスタンスまで、しばらくは試行錯誤が続きました。また回答期限を守れず、批判もいただきました。
現在では「市長への手紙」の件数は、年間360件を超え、2週間以内の回答も定着するなど、広聴のツールとして確立してきました。「市民参加と市民協働に関する審議会」においても、「市民参加の裾野を広げる上で大きな役割を果たしている」と評価されるようになっており、ここに至るまでの広聴担当者はじめ職員の皆さんの努力に深く感謝します。
しかし、東日本大震災後、「市長への手紙」が増え、福島第一原子力発電所事故による放射能汚染の影響と狛江市の対応について、問合わせや要望が続いていますが、5月中旬以降担当部から回答案が提出されない事態が生まれました。放射能汚染に関しては、日々新たな情報が入り、回答案作成にも困難がありましたが、それを理由に回答案作成を延ばしては未回答状態が続くことになります。こうしたことから私が直接回答することとし、担当課に滞留している「市長への手紙」を引上げたところ、その数は提出期限内のものも含め、20件程度になりました。これは、職務の懈怠と言わざるを得ません。特に放射線の影響については、市民が大きな不安を抱えているだけに、回答が長引くことは不信感にもつながります。
「市長への手紙」という制度発足時は、部長が責任を持って回答することになっていました。もう一度責任者は部長であるということを念頭に入れて回答案を作成し、1週間以内に回答案ができない場合には、部長が私に説明をするようお願いします。
■被災地支援について提案・審議(6月15日)
6月15日の庁議でも総務部より、東日本大震災被災地への支援活動について提案があり、審議されました。その部分を掲載します。
〔総務部からの提案〕
石巻市への人的支援を6月10日から開始しました。7月8日までの約1か月間の支援になります。具体的支援内容としては、石巻市立青葉中学校及び石巻市立蛇田中学校に設置されている避難所の管理運営業務を行っています。石巻市立青葉中学校には6月11日現在、239人の方が避難し、石巻市立蛇田中学校には6月10日現在、164人が避難しています。石巻市立青葉中学校と石巻市立蛇田中学校では、避難している方の人数に違いがあることから、避難者の人数が多い石巻市立青葉中学校ではボランティア及びイベント、寄付金の受入等の業務が多いようです。狛江市職員の派遣としては、第1陣が、職員課の森主事、納税課の金谷主事、学校教育課の大久保主事、総務課の高橋主事となります。第2陣が、政策室の高野主査、総務課の名生主事、環境管理課の八巻主事、学校教育課の黒江主査となります。第3陣が、職員課の塚脇主事、納税課の高橋主事、子育て支援課の滝川主事、学校教育課の米山主任となります。第4陣は、管財課の伏見主査・斉藤主査、児童青少年課の吉岡主事となります。第4陣については、3人決まっていますが、残り1人まだ決まっていないので希望者は職員課まで連絡をお願いします。
6月19日に狛江市民ボランティア・バスパックを行いますが、安心安全課の古内主事、福祉サービス支援室の宇野主事の2人がコーディネーターとして同行します。また、石巻市に行く際に、石巻市立蛇田中学校に絵手紙のうちわを200枚届ける予定です。
東京都市長会から要請があり、釜石市へ避難所の支援を続けていますが、期間延長の要請が新たに入りました。第3ブロックが第17陣として、7月15日から22日までの派遣となります。ブロックから8人ということで、各市2人ずつ派遣する方向で調整中です。派遣希望者のうち、派遣未経験の者から人選をします。
被災地への中長期的な人的支援の要請も来ています。東京都市長会では、職員数が1,000人以下の団体から1人、2,000人以下の団体から2人、それ以上の人数の団体から3人という割合で、職員を派遣することになりました。狛江市からは1人派遣することになります。派遣期間は、平成24年3月までとなり、途中交替を原則としてしないもの及び2、3か月で交替をする派遣要請があります。要請されている職種は、道路、下水道、まちづくり関連となり、土木・建築等の技術職が多くなっています。一般事務では、課税事務及び生活保護、介護などの福祉業務があります。東京都市長会へ派遣可能な職種等を報告後、依頼があると考えられるので、各部課の協力をお願いします。
〔主な質疑・意見等−回答〕
・東京都市長会に派遣について活動報告書を提出する義務がありますが、今回の派遣について、活動報告書の様式等は定めていますか。
−定めていません。
・様式等を定め、活動報告書を作成できるようにしてください。
【審議結果】−了承
■被災地支援バスパックの報告(6月21日)
6月21日の庁議では、18〜19日に実施された「狛江市民ボランティア・バスパック」の模様が報告されました。その部分を掲載します。また、当日配布された文書を次頁以降に掲載しました。
(4)狛江市民ボランティア・バスパックの報告について
狛江市職員は、石巻市到着後、地域活性課より預かった絵手紙うちわを石巻市立蛇田中学校避難所に届けました。避難所の方がたには好意的に受け入れていただき、絵手紙うちわも好評だったとの報告を受けました。
支援に向かった市職員及び現地避難所のボランティアの方に現在の避難所の状況を聞いたところ、一時は避難者の方が1,000人ほどいらっしゃいましたが、現在は150人程となり、日ごとに減少をしています。しかし、避難者には高齢者の方が多く、避難所生活によって体調を崩す人が増加し、今後の避難所運営については、暑さ対策が課題となります。
また、石巻市災害ボランティアセンター設立の経緯等の確認も行いました。石巻市災害ボランティアセンターについては、5年程前から設立の構想があり、さらに平成23年3月30日に石巻市及び石巻専修大学で災害ボランティアセンター協定を結ぶ予定もあったため、震災発生の4日後に石巻市災害ボランティアセンターは設立することができたそうです。ボランティアの人数は、平日は600から700人程、土曜日は1,000人程になり、瓦礫撤去については、ニーズが減っています。また、大震災発生時に災害時要援護者台帳を整備されていましたが、今回は津波による被害ということで、避難をされる方が多く安否確認が困難であり、民生委員についても活動場所が地区単位のため、避難所及び仮設住宅に移動されると活動が困難であったという報告を聞くことができました。
社会福祉協議会及び市民ボランティアの方がたは、地震によって地盤沈下が起き、台風等によって砂浜に物が散乱した波板海水浴場の修復作業を行いました。
■新設保育園運営法人選定日程の報告(6月21日)
6月21日の庁議には、新設保育園を運営する法人の選定スケジュールが報告されました。その部分を掲載します。
〔児童青少年部からの報告〕
待機児童の解消及び保育環境の更なる拡充を図ることを目的として、狛江駅南口現自転車保管場所の市有地を活用し、平成25年4月の開園を目指して、認可保育園の設置を行います。
選定については、より効率的な施設の設置運営を実現するため、施設建設に際して唯一国庫補助金制度の補助対象となる社会福祉法人に限定して、公募を
行います。応募資格については、近隣の保育事業に精通していることや実績等を考慮し、東京都及び神奈川県に本拠を置き、関東地方において5年以上認可保育園を運営している、社会福祉法第22条に規定する社会福祉法人であることとします。選定において、応募のあった社会福祉法人の中から、新設保育園運営法人選定委員会が審査を行い、最終的に市長が決定をします。運営法人には、有償で土地の貸付を行うことにより、最も経済的な方法で認可保育園を設置することができ、多岐にわたる保育内容を展開している社会福祉法人が運営することにより、より利便性の高い保育園を提供が可能となります。
運営法人公募要綱を広報こまえ7月1日号及びホームページに掲載し、応募を募ります。7月15日に運営法人に対して説明会を行い、質疑を受け付けた後に申請書類の準備をしていただきます。11月初旬頃までに運営法人を決定し、契約を行う予定となります。
■航空計器跡地ダイオキシン問題で報告(6月28日)
6月18日の庁議に建設環境部から、航空計器跡地のダイオキシン汚染問題について、建設環境常任委員会から3月に出された要望に対応して、土壌調査手法・分析結果解析評価業務を株式会社環境管理センター東京支社に委託することを決定した、などの報告がありました。その部分を掲載します。
また、市長名で東京航空計器株式会社に市民への説明を依頼しましたが、つれなく断られました。この無礼な(?)航空計器の回答文が資料として載っていましたので、次頁に後掲します。
〔建設環境部からの報告〕
建設環境常任委員会委員長より要望が出されました。内容としては、「1.ダイオキシン問題に対して、住民に積極的な情報公開をすること。」「2.東京航空計器に対し、今回の煙突内部洗浄と土壌調査に関する調査結果について住民に対して説明責任を果たすこと。」「3.調査結果から由来を判断するため、異性体分析を関係機関の専門的な見地から意見を求めること。」の3点と、また、これら諸問題の解決に向け、狛江市は強いリーダーシップを発揮するようにという内容です。
これに伴い、市としては、3月以降、東京都に相談し、助言をいただきながら活動してきました。その間に、パシフィックコンサルタンツ株式会社が追加調査を行い、2,100pg−TEQ/gが検出されました。この追加調査の結果も踏まえつつ、建設環境常任委員会の要望に対する回答を検討しました。その結果、土壌調査手法・分析結果解析評価業務を株式会社環境管理センター東京支社に委託することを決定しました。また、7月9日に住民説明会を行う予定です。
今回、廃棄物を適切に処理していたはずにもかかわらず、新たに2,100pg−TEQ/g検出されたということで、東京航空計器株式会社に市民への説明を依頼しました。しかし、東京航空計器株式会社からの回答は、廃棄物の適切な処理を行うとともに、市に対しても充分な説明をしてきたため、市民への説明については市が行って欲しいというものでした。再度東京航空計器株式会社に市民への説明依頼を行う予定です。
■ダイオキシン解析評価結果報告(7月5日)
7月5日の庁議に建設環境部から、上記のダイオキシン土壌調査手法・分析結果解析評価業務委託報告書の概要が報告されています。その部分を掲載します。
〔建設環境部からの報告〕
東京航空計器(株) 本社工場跡地のダイオキシン類汚染に対する土壌調査手法・分析結果解析評価業務委託報告書の内容ですが、平成21年1月に行われた
第1回調査から平成23年2月に行われた第4回調査までの既存調査の整理を行っています。
次に、分析結果の解析についてです。「ダイオキシン類は、燃焼由来に加え、過去に製造され使用した農薬類であるクロロニトロフェン(CNP製剤)とペンタクロロフェノール(PCP製剤)、そしてPCB製品に由来する」とされています。この4種類のうち、何によるものなのか解析したところ、燃焼由来であるものがほとんどであることがわかりました。また、ダイオキシンの発生源とされる焼却炉内の焼却灰との相関関係を調べたところ、煙突付近のダイオキシンは焼却灰によるものと考えられることがわかりました。しかし、敷地全体で見てみますと、焼却灰との相関性が低い部分もあり、全ての原因が焼却灰によるものではない可能性があります。
次に、有識者の所見についてです。京都大学の内山巌雄名誉教授にコメントをいただきました。まず、ダイオキシン類の健康影響として、一般的なダイオキシンの体内への影響について述べられています。また、今回の調査結果の評価として、今回の事例で焦点となっている敷地内における高濃度のダイオキシン類の由来が何によるものかということについて述べていただいたところ、内山厳雄教授も今回発生したダイオキシン類は、燃焼由来によるものと考えられる、とのことです。ただ強風のとき煙突からの飛灰が周辺環境を汚染した可能性は否定できないため、敷地外における調査を行うことで市民の方がたに安心していただけるのではないか、という意見をいただきました。また、周辺の土壌汚染が環境基準内の値であれば、焼却炉を使用しなくなってから40年近くが経っているので、近隣に居住されている方たちの現在における血中のダイオキシン類濃度は、一般の人と変わらないと考えてよいと思われます、とのことです。
東京大学大学院医学系研究科疾病生命工学センター健康環境医工学部門の遠山千春教授にもコメントをいただいたところ、ダイオキシン類の由来は焼却灰と判断するのが妥当であり、また、廃棄物についても適切に処理が行われているという評価を得ました。
2人の有識者の方々による所見のまとめとしては、今回、報告された汚染レベルであるならば、このレベルのダイオキシンによって小学校児童を含む周辺住民に影響を及ぼしていることはないと見なすのが妥当である、とのことです。また、リスクコミュニケーションとして、現在、地域住民と事業者、行政の信頼関係は全く失われていると言わざるを得ないため、環境リスク及び健康リスクを伴う問題に関しては、行政は地域住民の側に立ちながら中立的な対応をお願いしたいと思います、とのコメントをいただきました。
今回の報告書について、7月9日に市民説明会を行います。