都議選の振り返り・教訓化議論を進めましょう

《豊かな会》次回総会に向けて

なお、この、都議選開票結果の分析の記事は、事務局長・絹山の個人的見解であり、今後皆さんで考え合っていくための、ひとつの資料にしてください。

豊かな狛江をつくる市民の会は3月27日に臨時総会を開催し、市民本位の狛江市政の実現、安倍政権の暴走政治ストップという、都議選に向けた私達の“切なるねがい”実現のため、市民派都議候補としていび匡利さん(日本共産党公認)を推薦・支援することを決定しました。

その後、この事実を市民の皆さんにお伝えするため、『市民ひと輝く狛江』第8号を3万枚発行し、皆さんの合力で市内に各戸配布をおこないました。また、狛江駅前での「都政を語ろう!駅前リレースピーチ」を3回にわたって開催し、約25人の皆さんが「狛江から市民派都議を!」の思いを込めて語ってくれました。そして、「本番」を含めて、多くの会員、ご支持いただいている皆さんが、宣伝行動を初めとしたとりくみに力を発揮してくださいました。

 21年間の《豊かな会》の活動で、都議選にとりくんだのは今回が初めてでした。その意味でも、ぜひ都議選の振り返り・教訓化議論を深めたいと思います。年内には《豊かな会》の定期総会を開催する予定です。会員、ご支持いただいている皆さんのご意見を当会(暫定)事務所までお寄せください

 以下の資料類は、そのための一助になればと掲載します。

獲得議席数について

この表は『しんぶん赤旗』電子版7日付からです。都民ファーストの会は、尾崎大介氏を含めて6人の「無所属」を追加公認しましたので、計55人となり、都議会の43%を占めることになりました。

小池知事は7月2日夜の記者会見で、「『東京大改革』への期待を受けての結果だ。(勝因は)都民の目線で都政を一つ一つ語ったことに尽きる」と語った(『朝日』7月3日付朝刊)そうですが、例えば尾崎大介氏の選挙公報を読んでみて「都民の目線で都政を一つ一つ語った」とは到底思えないのはわたしだけでしょうか? 確かに「都民ファーストの会 377の政策」というのが同会HPに載っていますが、わたしが見たのも選挙後であり、有権者に「都民の目線で都政を一つ一つ語った」とは到底思えません。

しかし、都民ファーストの会に「風が吹いた」のは間違いありません。同日付『朝日』の「天声人語」は、「…都議選を制したのは『緑の風』だった。…都民ファーストの起こした風そのものにさほど風圧は感じられなかった。むしろ、安倍政権に向けられた批判の風がはるかに強かった。…今後を見すえて気になるのは、都民ファーストが有権者の心を

しっかり捕まえたようには見えないことだ。五輪といい市場移転といい、小池知事に実績らしい実績はまだない。このままであれば、追い風はやがてやむ。次には横風が吹き、冷たい向かい風に転ずる。」と書いています。

「天声人語」筆者の、ダメな(失礼)民進党に代わる、そして共産党とは連立しない?「政権交代可能な中道政党」に向けた、都民ファーストへの期待、あるいは激励のようにわたしは感じましたが、深読みでしょうか? ともかく「緑の風」の“正体”については詳しく触れていません。わたし自身も、都民ファーストのまさに圧勝という現実について、これが国政選挙だったらどうなっただろうか?日本はどうなったのか?と“選挙の怖さ”を感じつつも、考えを詰め切れていない現状です。

自民党の中谷元氏は、「THIS IS敗因」と言ったそうです。もちろん、Tは「このハゲー!」の豊田真由美、Hは萩生田光一、Iは稲田朋美、Sは下村博文です。森友学園、加計学園を初め「安倍一強」政治の「ゆがみ」を伝えざるを得なくなったマスコミの、官邸への忖度から解放された?堰を切ったような報道と「緑の風」が合体して「17年都議選劇場」が演出されたような気がします。

それにしても、昨夏の都知事選を含めて、なぜ都民ファーストの会に「風が吹いた」のか?皆さんのお考えをぜひお寄せください。

党派別の獲得票数について

党派別の獲得票数を『東京』7月4日付から転載しました。無所属の票数には、都民ファーストに追加公認された6名分を含んでいます。また、得票率の合計は100%になっていません。

 

今回 2017年7月2日執行

前回 2013年6月23日執行

党派名

得票数

得票率

得票数

得票率

今回の増減

都民

1,884,029

33.68

 

 

 

自民

1,260,101

22.52

1,633,303

36.03

−13.51

共産

773,722

13.83

616,721

13.60

+0.23

公明

734,697

13.13

639,160

14.10

−0.97

民進

385,752

6.89

690,622

15.23

−8.34

ネット

69,929

1.25

94,239

2.07

−0.82

維新

54,016

0.96

374,109

8.25

−7.29

社民

13,243

0.23

12,948

0.28

−0.05

諸派

43,092

0.77

25,421

0.56

+0.19

無所属

375,048

6.70

118,450

2.61

−4.09

5,593,630

 

4,204,973

 

 

もう一つの表を掲載します。『しんぶん赤旗』電子版日付からです。

 注釈にありますように、この表は前回も今回も公認候補をたてている、比較可能な選挙区の得票数合計での比較です。例えば共産党の場合、前回の総得票数は616,721票でしたが、今回は公認候補を立てなかった5選挙区(千代田、中央、武蔵野、青梅、北多摩2区)の得票数を外して計算しています。

 同紙記事によれば、「前回の都議選(2013年)を比較すると、日本共産党は得票数が19万3839票増、得票率も1・17ポイント増えて、国政政党の中で一番の伸びとなりました。同様の比較で、公明党も約6万5千票増えていますが、得票率は1・71ポイント減りました。歴史的惨敗となった自民党は、前回から約37万3千票減らし、得票率は13・51ポイント下落しています。今回、日本共産党が獲得した77万3722票は、共産党にとって都議選の歴史で3番目に多い数です。最も得票が多かったのは1973年(96万8210票)、二番目に多かったのは1997年(80万3379票)でした。日本共産党が獲得した議席数(19)も、番目に多い議席数です。1997年(26)、1973年(24)に次ぐもので、1985年の獲得議席と並びました。」とのことです。

投票率の推移について

東京都全体では、

当日有権者数  男  5,422,419人

         女  5,658,738人

         計 11,081,157人

      率  男 51.02%  (前回)43.13%  

         女 51.52%  (前回)43.86% 

         計 51.28%  (前回)43.50%

──であり、前回より7.78ポイント(約86万人分)上がっています。

 

調布市の投票率は53.00%、前回39.38%より13.62ポイント(約1.2万分)も上がっています。

狛江市は54.82%、前回42.73%より12.09ポイント(約8千人分)上がっています。

 

『朝日』7月3日付朝刊によると、都議選の投票率は「国政が大きく動いた年に50%を超える傾向がある」とのことで、こんな表を掲載しています。

 1989年 58.74% マドンナ旋風

 1993年 51.43% 日本新党躍進

 1997年 40.80%

 2001年 50.08% 小泉旋風

 2005年 43.99%

 2009年 54.49% 民主党政権交代

 2013年 43.50%

狛江の各候補得票数について

 主な候補者の狛江での得票についてちょっと考えてみました。

 

尾崎大介さんの得票について

 

◇現職2期目の尾崎さんの得票は10,977票。得票率30.1%で、ダントツの一位です。前回4年前より4,420票増やしています。

 尾崎さんの選挙公報によると、「無所属」、「都民ファーストの会推薦」の候補であり、「私たちも応援しています」の欄では長友調布市長(高橋狛江市長の名前はない)、7人の調布市議、そして太田、吉野、山本の3名の狛江市議、また「東京生活者ネットワーク」の名前も載っています。

離党した」とのことですが、実態的には民進党の応援を受けたと考えていいでしょう。

 

◇直近の国政選挙である、昨年7月10日執行の参議院選挙の比例代表で民進党が獲得したのが8,202票(按分票切り捨て)、得票率21.2%でした。このときの有効投票数は38,694票でしたので、今回都議選の有効投票数36,464票より6%多かったことになります。

 民進党に投票した全員が今回、尾崎さんに得票したと仮定すれば、8,202×0.94=7,710票となります。尾崎さんの得票はこれを3,267票上回っていますので、支持を広げたことは間違いありません。

 

◇次に2年前4月の市議会議員選挙です。このときの有効投票数は31,779票でしたので、今回都議選の有効投票数36,464票より8.7%少なかったことになります。

尾崎さんを応援した太田、吉野、山本の3市議の合計得票が3,416票、民主党(当時)から立候補して次点だった候補を含めて4,248票。これに

1.087をかけると4,618票。それを6,359票も上回る得票でした。

 

中島よしおさんの得票について

 

◇中島さんの選挙公報によると、「公明党公認」に加えて「都民ファーストの会推薦」を掲げ、「私たちも応援しています」の欄では小池都知事、長友調布市長、高橋狛江市長のほかに「作家 佐藤優」、「政治評論家 森田実」の名前も見えます。

 

◇公明党が昨年7月の参議院選挙の比例代表で獲得したのが3,603票(按分票切り捨て)。この時、公明党に投票した人全員が今回、中島さんに得票したと仮定すれば、3,603×0.94=3,387票となります。

今回、同氏の得票は7,999票であり、これを4,612票も上回り、2倍以上です。「緑の風」があったとしても、わたし自身も正直驚いています。

 

◇次に2年前4月の市議会議員選挙。全員当選した4人の合計得票は4,531票。これに1.087をかけると4,925票。それをも3074票上回る得票でした。

 

いび匡利さんの得票について

 

いびさんの選挙公報の「推薦」の欄には、「社民党狛江市議会議員」として市原さんの名前が載っています。政党としていびさんを応援するとの記述はありませんが、以下は社民党支持者の方がいびさんを支持してくれたと仮定しての話しです。

 

◇昨年7月の参議院選挙の比例代表で、共産党が獲得したのが6,356票、社民党が1,405票で合計7,761票。これに0.94をかけると7,295票になります。今回、いびさんが獲得した7,374票とほぼ一致します。

 

◇2年前の市議会議員選挙。5人全員当選を果たした共産党候補の合計獲得票は6,513票、市原さんが獲得した1,086票を合わせると7,599票となります。これに1.087をかけると8,260票となり、いびさんの獲得票を886票上回る数字になります。

 

栗山よしゆきさんの得票について

 

◇栗山さんの選挙公報、「推薦します」の欄に国会議員6名とともに「狛江市議会 自由民主党・明政クラブ」が載っていますが、長友調布市長、高橋狛江市長の名前はありません。

 

◇昨年7月の参議院選挙の比例代表で、自民党が獲得したのが12,484票でした。これに0.94をかけると11,735票になりますが、栗山さんは8,497票、その72.4%にしかなりません。

 

◇2年前の市議会議員選挙。「狛江市議会 自由民主党・明政クラブ」あるいは「自由民主党」を標榜した候補は少なくとも8名(うち1名落選)、合計で10,102票を獲得しました。これに1.087をかけると10,981票となりますが、栗山さんの票はその77.4%にしかなりません。

出口調査から何が見えるか?

 各報道機関等がおこなった出口調査のうち、わたしの手元には『朝日』の資料しかありませんので、これを使って考えたいと思います。

 

「支持する政党」を昨年7月参議院選挙と比較

 ( )内の人数は、今回の投票者数37,254人を基にした推定人数です。

△都民F  24%(推定8,941人)

△自民党  26%(推定9,686人)?36%  

 △民進党   7%(推定2,608人)?18%

 △共産党  10%(推定3,725人)?11%

 △公明党   8%(推定2,980人)? 6%

 △その他   4(推定1,490人)?11

 △無党派  21(推定7,823人)?17

 

「自民党を支持する」と回答した人の投票先

『朝日』の出口調査では、自民党支持(推定9,686人)のうち自民党候補(狛江では栗山さん)に投票したのは67%にとどまっていますので、約6、490票となります。また、「無党派」の13%が自民党に入れたと答えていますので、これが推定1,017人。合計で推定7,057票ですが、栗山さんの得票は8,497票ありました。全都平均?よりは1千票以上多かったことになり、「地元の強み」だったのでしょうか?

自民党支持と回答した人の25%(推定2,422人)が「小池氏支持勢力」に投票したようですが、手元の『朝日』の資料では、尾崎さんと中島さんのどちらに投票したかの判断がつきません。

 

無党派」の推定7,823人は誰に投票したのか?

推定7,823人の投票先の推測になりますが、前述のとおり13%(推定1,017人)は自民党、都民Fに35%(推定2,738人)、共産党に17%(推定1,330人)、民進党に10%(推定782人)、公明党に8%(推定626人)となります。

以上の数字を元に、狛江での主な候補者の得票について、もう一度検討してみたいと思います。

 

△栗山さんについては、前述のとおり、全都平均?よりは1千票以上多かったことになり、「地元の強み」だったのでしょうか? 頑張ったということになりますかね。

 

△いびさんについては、『朝日』の出口調査で「支持する政党」として共産党  と答えた推定3,725人は当然、入れたと思います。そして「無党派」の17%(推定1,330人)がいびさんに投票しました。計5,055票、いびさんの獲得は票7,374票ですから、全都平均?より2、300票以上の上積みがあったことになります。

「支持する政党」として「その他」を回答した4%(推定1,490人)の中には社民党支持の方もいましたので、この中から一定の得票があったと推測されます。

 

△次は中島さんです。出口調査で「支持する政党」として公明党と答えた推定2,980人は当然、入れたと思います。また、「無党派」の8%(推定626人)が中島さんに投票しました。合計で推定3,606人です。公明党が昨年7月の参議院選挙の比例代表で獲得した3,603票(按分票切り捨て)とほぼまったく同じです。

これでは、中島さんが獲得した7,999票の半分にもなりません。「支持する政党」として都民Fと回答した24%(推定8,941人)と、「無党派」の

うち都民Fに投票した35%(推定2,738人)の合計11,679人のうちから約4.5千票が中島さんに投じられたと考えるしかありません。

△最後は尾崎さんです。出口調査の「支持する政党」として民進党と答えた   7%(推定2,608人)は、尾崎さんに入れたと判断します。また、「無党派」の10%(推定782人)も投票したでしょう。

合計で推定3,390票。尾崎さんが獲得した10,977票の約3割にしかなりません。

つまり、上記の都民Fの推定獲得票11,679人のうち、中島さんが獲得したと推測される約4.5千票の残り、約7千余票を尾崎さんが獲得したと考えられます。

 

以上は、『朝日』の資料しか使っていませんので、わたしの個人的な、まったくの推論ということになります。ぜひ会員、ご支持いただいている皆さんのご意見を当会(暫定)事務所までお寄せください。